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新種牡馬好調の2歳戦(須田鷹雄)

  • 2019年09月10日(火) 18時00分

将来的には短距離だけでなく、守備範囲の広さに期待


 夏競馬が終了して少し経つが、ここまでの2歳戦で目立っているのが新種牡馬の活躍だ。9月8日終了時点の勝利度数順でいうと、キズナが13勝で2位、エピファネイアが10勝で4位、リアルインパクトが6勝で9位に入っている。他にはゴールドシップが、勝ち上がり産駒2頭なのにその2頭が札幌2歳Sで1、2着という結果を出している。

 キズナは2勝馬も2頭出しているし、これ以上ないスタートを切ったと言っていいだろう。ただ、個人的に驚いているのはエピファネイアだ。正直、ここまで2歳戦初期から勝つとは思っていなかった。

 エピファネイア産駒はこの原稿を書いている時点で[10-10-8-49]。勝馬率は21.3%となっている。比較対象として、父シンボリクリスエスの初年度はどうだったかというと、同週までで[4-8-8-38]。勝馬率は12.5%だった。出走数が増えているのは時代の流れだろうが、勝馬率もだいぶ違うので、やはりエピファネイアのほうが出足がいい。

 さらに意外だったのが、1200m戦で好走できていることだ。10勝中5勝が1200m。パドゥヴァルスやグライユルのような母の父ディープインパクトでも1200mで勝っている。血統的にはスプリント要素皆無というかむしろ距離があったほうがよさそうなのだが、こういう配合から短距離をこなす馬が出るのは強みになる。一方でもちろんステイヤーも出るだろうし、将来的には守備範囲の広さが期待できそうだ。

 正直この展開は全く読めていなかったし、1200mの新馬戦でエピファネイア産駒は軽視してきてしまった。己の不明を恥じるばかりだ。

 こうなってみると一気に宗旨替えしてエピファネイア産駒に注目したくなるが、強みとして思い当たるのはサンデーサイレンスが3代前(産駒から見ると4代前)まで下がっていることである。これまでSSのクロスは3×3で組まれることが多かったが、エピファネイアは4×3でいける。母方(母の父の父)からSSの良さを引き継ぐ一方、クロスで生じるリスクを軽減できている可能性がある。

 そうなると気の早い話だが、来年のモーリスも楽しみになってくる。こちらは父側(父の母の父)からSSを受け継いでいる形だが、自身の3代前、産駒の4代前にSSがいるという点は同じ。さらにエピファネイアと同じロベルト系でもある。ノーザンファーム産馬だけを見てもSSの4×3がごろごろ控えており、これが当たりパターンだとしたらかなり期待できるということになるだろう。

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