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ゴールデンジョッキーC開催!! 園田の現役&元騎手たちが2000勝を語る

  • 2019年09月10日(火) 18時00分
馬ニアックな世界

▲2014GJCではレジェンドが誘導馬に騎乗(左から故・寺島正勝調教師、平松徳彦調教師、田中道夫調教師)


毎週、JRAや地方競馬では、あらゆるメモリアルが生まれます。「1万回騎乗」、「通算100勝」など、いずれも素晴らしい記録。その中で「2000勝」という数字について、みなさんはどんなイメージを持ちますか? 先週4日(水)、園田競馬場では通算2000勝以上を挙げる騎手を集めてゴールデンジョッキーカップが開催されました。それを見届けた園田の現役&元騎手たちにゴールデンジョッキーCの思い出や2000勝という数字について聞いてみました。


2000勝ジョッキーは調整ルームの過ごし方も違う!?


 年間100勝を20年間続ける――そう表現した方が2000勝の偉大さが分かりやすいかもしれません。ゴールデンジョッキーC開催地の園田では2000勝ジョッキーのことを敬意を込めて“ゴールデンジョッキー”と呼びます。ゴールデン、つまり金色に輝く騎手ということなのです。

 すでにゴールデンジョッキーの仲間入りを果たし、年内にはダブルカウントの4000勝に到達しそうな田中学騎手(兵庫)は2000勝についてこう話します。

「デビューした頃には夢のまた夢っていうか、自分が2000勝するまでになるのかな?って不思議やったよ。100勝、500勝、1000勝、1500勝って区切りがある中で、2000勝は一つの大きな区切りやったかな、と思います」

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▲年内にはダブルカウントの4000勝に到達しそうな田中学騎手(兵庫)


 デビュー時には果てない記録だった、とは多くの騎手たちが口を揃えます。

 そんな2000勝ジョッキーが集まるゴールデンジョッキーCについて、現役時代は“園田の帝王”と呼ばれ、田中学騎手のお父様でもある田中道夫調教師はこう振り返ります。

「一流の騎手が集まるから、ソツのないレースが多かったよね。『ここが(進路)空くやろ』って思っても、空かないんよ。若い騎手が見て勉強するにはいいレースですよ。前夜の調整ルームでも他の招待レースとかならお酒を飲んで盛り上がっていたけど、2000勝以上を挙げる人はすぐに部屋に上がって、勝負に徹していたね。

 私もたしか第1回目(1988年)から参加させてもらったんですが、まさか佐々木竹見さんと一緒に乗れるとは!って嬉しかったですね。私がデビューした時にはすでに何千勝もされていた方でしたから」

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▲2014年のGJCで誘導馬に騎乗した田中道夫調教師


 昨年、的場文男騎手によって記録が塗り替えられましたが、それまで地方通算7151勝の歴代最多勝記録を持っていた“鉄人”佐々木元騎手。偉大な先輩との交流は刺激になったようです。

 ゴールデンジョッキーCにはJRA騎手も参加するため、「武豊騎手と一緒に乗れたことが印象に残っていますね」と目を輝かせたのは有馬澄男調教師。現役時代は大分県の中津所属として、中津廃止後は兵庫所属としてゴールデンジョッキーCに出場経験があります。

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▲有馬澄男調教師の現役時代


「みんな顔を合わせると、『さすが、違うな〜』といい刺激になりました。このレースに出られるっていうことは、1つの勲章。このレースに憧れて2000勝を目指しましたからね」といいます。

「的場さんは日本で一番、返し馬が長いんじゃない?」


 多くの騎手が憧れる2000勝。しかし、ほとんどのジョッキーは志半ばで引退することとなります。怪我、体重管理、乗り鞍の減少などさまざまな理由がそこにはありますが、そのうちの1人である新子雅司調教師(兵庫)は「2000勝どころか、2000回乗るのも大変」と呟きました。

 通算1861戦126勝。

 厳しい世界だということが伝わってきます。

 しかし、その後の調教師としての活躍はみなさんの知るところで、7年前に開業するとダートグレードレースを3勝。兵庫の調教師で断トツの記録です。

 すると、この話を近くで聞いていた調教師たちから

「ゴールデントレーナーを目指したらええんちゃう?」との声が。

「生きていたらね!」

 と本人は笑いましたが、ここ4年は年間100勝超えのため、このままのペースでいけば15年後、新子調教師が56歳の頃に“ゴールデントレーナー”になっているかもしれません。

 ちなみに日本一勝っている雑賀正光調教師(高知)は9月9日時点で3443勝。「4000勝を目指します!って言ったけど、なかなか遠いなぁ(苦笑)」と首を捻りますが、現在進行形で日本記録を更新中です。また、名古屋では角田輝也調教師が3000勝超え。兵庫の田中範雄調教師もあと39勝で“ゴールデントレーナー”の仲間入りをする予定です。

 いろいろと数字にまつわるあれこれを書いてきましたが、最後に今年のゴールデンジョッキーCを終えて田中親子の言葉を。

 まずは参加した田中学騎手。

「僕はテン乗りだと特に返し馬を大事に、長めにしようと思います。あとは後ろから行く馬で、テンから動かしたい時とか。的場(文男)さんとかもそうなんだと思います。的場さんは日本で一番、返し馬が長いんじゃないかってくらいですよ」

 ゴールデンジョッキーCではテン乗り騎乗がほとんどになるので余計かもしれませんが、日本一の騎手には、他とは違うこういった秘訣があるのかもしれません。

 田中道夫調教師もこう話します。

「他の人とは違う乗り方ができるから何千勝もできるんでしょうね。それに、何年もずっとたくさん乗せてもらえることが勝率につながります。乗るには人間性も必要ですね」

 継続は力なりと言いますが、ずっと勝ち続けること、ずっと乗り続けること、ずっと謙虚でいることがゴールデンの道につながるのかもしれません。

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▲的場文男騎手(2019GJC1戦目)

競馬リポーター。競馬番組のほか、UMAJOセミナー講師やイベントMCも務める。『優駿』『週刊競馬ブック』『Club JRA-Net CAFEブログ』などを執筆。小学5年生からJRAと地方競馬の二刀流。神戸市出身、ホームグラウンドは阪神・園田・栗東。特技は寝ることと馬名しりとり。

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