父の成長力と牝系の奥深さで実りの秋へ
菊花賞の勝ち馬は、現在の日程(10月の菊花賞)になった2000年以降、春の2冠「皐月賞、日本ダービー」に不出走馬が過半数の10頭。春の2冠(少なくとも1冠)に出走していた馬は9頭。勢力図は秋に変化している。
一方、牝馬の秋華賞では、春の2冠(桜花賞、オークス)に不出走だった勝ち馬は、同じ2000年以降の19年間に「5頭」だけ。秋華賞が未知の距離ではなく、また、牝馬のトップクラスは限られることが多いので、14頭が春のクラシック経験組だった。
過去10年の秋華賞で3着以内に好走した30頭には、春のオークスに出走していた馬が「20頭」もいる。さらにそのうち「15頭」がこのローズSにも出走。「オークス、ローズS」の両レースで5着以内の成績上位馬が「11頭」を占める。牡馬と比べると、トップグループの勢力図の変動は少ない。
オークス4着ウィクトーリア、同5着ダノンファンタジーの2頭は、ここで上位に好走すると、実績上位馬として、本番での快走も約束されたに近い立場になる。人気の中心であるが、軽視することはできない。
シャドウディーヴァ(父ハーツクライ)は、オークスで5着ダノンファンタジーと頭差同タイム2分23秒3の6着。上がりは0秒2上回っていた。ウィクトーリアとは、フローラS→オークスともに同タイムの大接戦だった。
近年の流れ通り、今年の紫苑Sのレベルは低くない。勝ったのは4月のフローラSを0秒1差4着のパッシングスルー、2着もフローラSを0秒1差5着のフェアリーポルカ、3着がオークスをクビ差2分22秒8の2着カレンブーケドール。
すると、フローラSの勝ち馬はウィクトーリア(オークス0秒5差4着)なので、フローラSの上位組は、オークス上位組と条件さえ整えば、さして能力差がないことになる。今回、オークス馬ラヴズオンリーユーが回避、同3着クロノジェネシスはぶっつけ本番。桜花賞馬グランアレグリアは別路線を選んだ。
ダノンファンタジー、ウィクトーリアが人気の中心なら、フローラSをハナ差2着のシャドウディーヴァは、人気面では差があっても、能力ランクは互角に近いといえる。秋の成長が期待できるハーツクライ産駒でもある。そう置かれるタイプではない。やや不器用な印象を与えるが、フルゲート18頭立てのオークス、フローラSでも好走していたから、阪神外回りの12頭立てなら、馬群はさばけるだろう。
母ダイヤモンドディーバ(父ダンシリ)は、8-9F戦を中心に英米で18戦【6-6-3-3】。さかのぼる牝系は古くから日本と深く関係し、スピード系の名種牡馬テスコボーイ、スパニッシュイクスプレスの輸入された牝系であり、輸入牝馬ではレディチャッターの一族が大きく発展している。