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ダービー馬ワグネリアンの全妹パイネ

  • 2019年09月25日(水) 12時00分
●アクニディ(牝 美浦・尾関知人 父ディープインパクト、母サミター)

 ダノンチェイサー(19年きさらぎ賞-GIII)の全妹。母サミターは愛1000ギニー(G1・芝8f)、ガーデンシティS(米G1・芝9f)の勝ち馬。

「ディープインパクト×ロックオブジブラルタル」の組み合わせはミッキーアイル(16年マイルCS-GI、14年NHKマイルC-GIなど重賞6勝)と同じで、母方にMr.ProspectorとBlushing Groomを併せ持つディープインパクト産駒にはヴィルシーナ(13、14年ヴィクトリアマイル-GI・2回)とヴィブロス(17年ドバイターフ-G1、16年秋華賞-GI)の姉妹、ミッキークイーン(15年オークス-GI、15年秋華賞-GI)、アンビシャス(16年大阪杯-GII、15年ラジオNIKKEI賞-GIII)、アンジュデジール(18年JBCレディスクラシック-GI)などがいる。

 母にDanzig 3×4を持つディープインパクト産駒なのでダノンプレミアム(17年朝日杯FS-GI)を彷彿させる配合でもある。馬体は小柄ながら血統的な魅力が大きいので期待したい。芝向きのマイラー。

●アドマイヤベネラ(牡 栗東・友道康夫 父ハーツクライ、母ライフフォーセール)

 阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)など4つの重賞を勝ち、ローズS(GII)では阪神芝1800mで1分44秒4のコースレコードを樹立したダノンファンタジー(父ディープインパクト)の半弟。母ライフフォーセールは南米アルゼンチンで10戦8勝。ブエノスアイレス大賞(亜G1・ダ2200m)、ラプラタオークス(亜G1・ダ2000m)など6つの重賞を制した。

 母の父Not for Saleはアルゼンチン生まれのスプリンターで、シウダッドデブエノスアイレス大賞(亜G1・ダ1000m)を制覇。種牡馬としては距離の壁はなく、2000mはもちろん2400mの大レースを勝った子もいる。Swaps 4×3なのでダート向きの適性は高いが、芝でも問題なく、豊かな成長力と大レース向きの底力も特長のひとつ。クラシック向きの血統として魅力的だ。

 父がハーツクライに替わった本馬は、中央未勝利に終わったビートフォーセールの全弟でもあるが、18年のセレクトセール1歳で2億3000万円の高値がついたように馬っぷりは素晴らしい。芝中距離で大仕事を期待したい。

●サトノフウジン(牡 美浦・堀宣行 父ディープインパクト、母コンテスティッド)

 中日新聞杯(GIII)を勝ち、NHKマイルC(GI)で2着となったギベオンの全弟。2017年のセレクトセール当歳で2億円(税抜)という高値で落札された。

 母コンテスティッドは現役時代、エイコーンS(米G1・ダ8f)、テストS(米G1・ダ7f)など3つの重賞を含め7戦5勝の成績を残した名牝。母の父Ghostzapperは00年代のアメリカ最強馬の1頭でDeputy Minister系。

 この系統の種牡馬はブルードメアサイアーとして優秀なものが目につくが、Ghostzapperも米三冠馬Justifyや本邦輸入種牡馬ドレフォンの母の父となって頭角を現している。父ディープインパクトはDeputy Minister系と相性良好。芝向きの中距離タイプ。

●パイネ(牝 美浦・国枝栄 父ディープインパクト、母ミスアンコール)

 ダービー馬ワグネリアン、フェアリーS(GIII)3着馬テンダリーヴォイス、弥生賞(GII)5着馬カントルの全妹。母ミスアンコールは現役時代に1勝を挙げるにとどまったが、2代母ブロードアピールは驚異的な追い込み脚を武器にガーネットS(GIII)、根岸S(GIII)など6つの重賞を制覇した名牝。

「ディープインパクト×キングカメハメハ」はデニムアンドルビー、アイスバブル、ジナンボー、キタノコマンドール、グリュイエール、ハナレイムーンなどと同じで、連対率34.7%、1走あたりの賞金額554万円は、ディープインパクト産駒全体の24.2%、331万円を大きく上回る。

 馬のデキが良ければ重賞級の活躍が見込める。芝向きの中距離タイプ。

●ファーストフォリオ(牝 栗東・須貝尚介 父キングカメハメハ、母シーザリオ)

 リオンディーズ(15年朝日杯フューチュリティS-GI)とグローブシアター(16年ホープフルS-GII・3着)の全妹、サートゥルナーリア(19年皐月賞-GI、18年ホープフルS-GI/父ロードカナロア)の4分の3妹、エピファネイア(14年ジャパンC-GI、13年菊花賞-GI/父シンボリクリスエス)の半妹。

 母シーザリオはオークス(GI)やアメリカンオークス(米G1)などを制した名牝。産駒で名を成した馬はいまのところ牡馬しかいないが、本馬の全姉シーリアは現在2勝クラスで走っており、牝馬がまったく走っていないわけではない。シーザリオが伝える体質面の弱さをより表に出しやすいのが牝馬なのかもしれない。これだけの良血だけにそうした面が出なければ重賞級の活躍が望める。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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