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「スーパー未勝利戦」がなくなって起こった新馬への影響(津田照之)

  • 2019年10月01日(火) 18時00分

出走頭数が増えるような番組作りが必要不可欠


 今回はトレセンにおける馬の「入れ替え」についての話をしておきたい。

 皆さんもご存じの通り、去年まであった秋の中山、阪神開催における3歳馬の「スーパー未勝利戦」が今年からなくなった。内容的にはキャリア5戦までの馬、もしくは前走5着以内の馬にもう一度、勝つチャンスが与えられる制度(レース)。つまるところ、未勝利馬にとっては、「ラストチャンス」的な要素があるため、トレセン内で自然とスーパー未勝利戦と呼ばれるようになった。

 このスーパー未勝利戦がなくなったことに対する賛否はともかく、なくなったことにより、トレセンにおける馬の入れ替えがスムーズに行かなくなったのは事実。理由は簡単で、夏の新潟、小倉、札幌開催が終わると、3歳未勝利馬が出走するレースが急になくなるため、未勝利馬の大半(ほぼ全部)が競走馬登録を抹消される。抹消されるとそれと入れ替わる馬を入厩させたいのだが、その際に行われる検疫が追いつかず、入厩させたくてもさせられない状況が続いた(いわゆる順番待ちの状態)。

 となると、どうなるかと言えば、中山、阪神開催の出走頭数が少なくなり、特に2歳未勝利戦や古馬2勝クラスのレース辺りは頭数が揃わない状況が続いた。もちろん、2歳新馬戦も例外ではない。比較的、出走頭数が整った中山はともかく、阪神の新馬戦は14、11、11、5、12、13、9、12、9、15、16、11、18、16、18頭立てで、開催前半は検疫が追いつかなかった影響もあってか、特に頭数が少なく、後半になると、9月前半に入厩できた馬の出走態勢が整い、徐々に出走頭数が増えていくという流れになった。

 来年からの番組がどうなるのかはまだわからないが、厩舎サイドから見れば、比較的、出走頭数が少ない夏の函館、札幌開催、もしくは9月前半の中山、阪神開催で新馬をデビューさせるのが得策のように思われる。近年は早期デビューした馬が早めに賞金を加算→クラシックに向け、余裕を持ったローテで臨む→好結果を生むというケースが多い。そしてJRA的には、9月の中山、阪神開催の出走頭数が増えるような番組作りが必要不可欠だと思う。

 最後に少し頭数が増え始め、除外馬も出始めた新馬から馬券的にオススメの馬たちを紹介。

 高野厩舎のシルバータイド(牝、父ブラックタイド、母メジロフォーナ)は10月6日、京都、芝2000m戦でのデビューを予定(M.デムーロ騎手)。牝馬にしては大柄(500キロほど)で、背中もしっかり。乗り込みも十分なので、初戦から動けそうなタイプ。

 杉山厩舎のボルサリーノ(牡、父シンボリクリスエス、母フレンチドール)は先週の新馬戦で除外。おそらく今週は出走できるだろう。調教時計は水準以上で、気性も素直。脚さばきからダートも合う。10月6日、京都、ダート1800m戦を予定。

 最後に池添学厩舎のグランレイ(牡、父ルーラーシップ、母ミラクルベリー)を紹介。こちらも先週の新馬戦で除外。1週スライドして10月5日、京都、芝1800m戦でデビュー予定。調教での反応は素晴らしく、時計も速い。

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