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見どころ満載の凱旋門賞を分析!

  • 2019年10月05日(土) 12時00分

“歴史的なレース”が見られるでしょうか?


 6日は凱旋門賞。今年はテーマ、見どころがいろいろあって、とても興味深いレースになりました。みなさんには余計なお世話かもしれませんが、ここで参考(?)データを整理しておきましょう。

 まずは最大の見どころ、エネイブルの3連覇なるかに関して。これまで凱旋門賞を連覇した馬は6頭いますが、3連覇に挑戦したのは2015年のトレヴだけ。ほかの5頭のうち4頭は連覇を花道に現役を退き、残る1頭(1921年の第2回と翌年の第3回を制したクサール)も、連覇から中2週で出走し2着に敗れたグラディアトゥール賞(当時は6200メートルのレース!)が最後のレースとなりました。

 2015年シーズンのトレヴは5月のコリーダ賞、6月のサンクルー大賞、9月のヴェルメイユ賞をすべて制し凱旋門賞に挑みましたが、4着に完敗しています。この時、ゴールデンホーンを“神騎乗”で優勝させたのがデットーリ騎手。今回はそれとは反対に、エネイブルを3連覇に導くための手綱を取ります。

 ゴールデンホーンは同年の英ダービー馬。その後、エクリプスS1着、英インターナショナルS2着、愛チャンピオンS1着と好成績を残していました。これに比べると、今年の3歳馬の実績は今イチですよねぇ。

 次に日本馬。3頭出走というのは、トレヴが連覇した2014年にハープスター(3歳牝、6着)、ジャスタウェイ(5歳牡、8着)、ゴールドシップ(同、14着)が走って以来のことです。

 その時は、どの馬にとっても日本で経験したことのない20頭立てのレースでしたが、今回は12頭立て。パドックに出た途端に「きょうは馬がいっぱいいるなぁ」と思うことはないでしょう。些細なことですが、そこは有利に働くかもしれません。

 ちょっと考えておきたいのは優勝馬の年齢。エネイブルと同じ5歳牝馬の制覇は、1937年コリーダ(前年に次ぐ連覇)のたった1回しかありません。一方、5歳牡馬の優勝は過去に6回ありましたが、2002年マリエンバードが最後、4歳牡馬の優勝も07年のディラントーマス以来途絶えています。これを“ウラ読み”すれば、08年以降の凱旋門賞は3歳牡馬か3、4歳の牝馬が優勝しているわけです。

 今回のレースでは、4コーナーの出口で仮柵を外す“オープンストレッチコース”が初めて採用されます。これまでの枠番成績は参考にならないかもしれませんが、ロンシャン開催の最近20回で6番枠の馬が5勝しています。武豊騎手のソフトライトは好枠を引き当てました。エネイブルが入った9番枠の馬は2着2回3着5回。でも、勝ったのは1993年のアーバンシーが最後です。

 ちなみに14頭以下で行われたレースは20回中6回あり、そのすべてで1、2、4番枠の馬が少なくとも1頭は3着以内に来ていました。

 さて今年、私は現地観戦する予定。どういう“歴史的なレース”が見られるでしょうか? では、行ってきま〜す!

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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