ストームキャット牝馬が秘めるパワフルなスピード能力に…
今年第70回目。同日の「京都大賞典」とともに、秋のGIシリーズに直結するもっともランクの高いGII。遠い時代を含め3歳馬の勝ち馬は計10頭。競走体系が少々異なった資源の乏しい時代には、3歳の勝ち馬が多くいたが、過去30年ではわずか2頭にとどまる。史上、その年の日本ダービー馬と、2着馬は勝った記録はない。理由は明白、菊花賞を目指すのがふつうだから…。
探すと、今年のダノンキングリー以前には、1995年の皐月賞馬で、日本ダービー2着のジェニュインが1番人気で出走したが、6着だった。ただし、ジェニュインは続く天皇賞(秋)をハナ差の2着している。
人気のダノンキングリーには、史上初の「日本ダービー連対3歳馬」の勝利がかかっている。皐月賞が0秒0差。日本ダービーも0秒0差の同タイム。ともに心もち距離が長かった印象があり、この東京1800mでは共同通信杯でアドマイヤマーズ(のちのNHKマイルC1着馬)を、上がり32秒9で完封している。
ここが隠れたポイントで、近年の数少ない3歳馬の毎日王冠勝ち馬は、2012年のカレンブラックヒルがNHKマイルC馬。その時の2着馬ジャスタウェイもNHKマイルCに出走している。11年の2着馬リアルインパクト(安田記念馬)もその前走のNHKマイルC3着馬であり、1998年に2着したエルコンドルパサーもNHKマイルC勝ち馬。3歳の好走馬はマイル路線の馬の方が毎日王冠で通用する。
ディープインパクトは産駒が3歳に達した11年以降の8年間に、毎日王冠2勝、2着4頭、3着3頭。17年は上位3頭みんなディープ産駒だった。また、17年のリアルスティール=サトノアラジン。15年の勝ち馬エイシンヒカリの3頭にはダノンキングリーと同様に「ディープインパクト×ストームキャット牝馬」という共通点があった。
「ディープ×ストームキャット」はニックスに近いとか、なにもそういう視点ではなく、日本には芝1800mのGIはないが、ストームキャット産駒が大活躍した北米には、ダート9FのGIがあふれるようにある。高速の一定スピードが生きる8.5〜9Fはストームキャットの距離であり、ストームキャット牝馬が秘めるパワフルなスピード能力に、ディープインパクトの柔軟性がマッチしているのだろう。
第54回京都大賞典もビッグレース展望する馬の多いランクの高いGII。3歳馬も(続く菊花賞を制した1998年のセイウンスカイ)、牝馬も勝っているが(17年スマートレイアー、10年メイショウベルーガ)、史上、エタリオウ、アドマイヤジャスタのような1〜2勝馬が勝ったことはない、という冷たい記録がある。エタリオウの史上初に期待したいが、馬連、3連複の主軸にとどめるのが賢明か。