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紛れの少ないコースで実力が試される南部杯

  • 2019年10月12日(土) 18時00分

昨年の南部杯は3歳馬ルヴァンスレーヴがゴールドドリームの猛追を1馬身半差交わして優勝(提供:岩手県競馬組合)


 1988年に北日本地区交流競走として創設。交流元年の95年に中央地方全国交流競走となり、96年には開催場が水沢から盛岡へと変更、97年には統一GI(現在のJpnI)に格付けされた。

 レース名に「マイルチャンピオンシップ」とつくようにダート界のマイル王を決める一戦。98年にはメイセイオペラが優勝、02年にはトーホウエンペラーとバンケーティングの地元ワンツー(3着が船橋のマキバスナイパーで地方馬が馬券圏内独占)というようなこともあったが、近年はとにかく中央馬が強く、地方馬の出番はほとんどない。過去10年で馬券に絡んだのは2010年11番人気3着のグランシュヴァリエ(高知)だけ。同年と15年以外は中央馬の掲示板独占となっている。

 現在は中央枠が7頭いるうえ南関東勢の遠征がほとんど無いため、中央馬の天下はしばらく続きそう。盛岡のダート1600mはスタートしてから約200mで緩やかに左へ折れる形になるがコーナーと呼べるほどの角度ではなく、枠順の有利不利にもつながらない。実質的には最初のコーナーまでが長いワンターンで、紛れが生じにくいことが、さらに能力上位馬の好走を助けている。

 直線の坂も影響してある程度差しも届くし、展開だけで力量下位の逃げ先行馬が簡単に残れるコースでもない。南部杯も過去10年中、2010年以外の9回は1番人気馬もしくは2番人気馬が勝っている。この傾向もしばらく続く可能性が高い。

 ただ、いわゆるヒモ荒れの形なら狙うことはできる。昨年は2、1、5番人気の決着で、一昨年は1、7、5番人気で3連単は12万円台。2012年に6番人気馬の2着、2011年に7番人気馬の3着などもあり、「JRA所属の人気薄馬をどう複穴として扱うか」は馬券上重要なテーマだ。

 最後に、今年は過去の優勝馬が出走していないが、連覇や複数回優勝が多いのも南部杯の特徴。ダートグレードになって以降の20年強で5頭が複数回優勝、うちブルーコンコルドとエスポワールシチーは3回優勝している。「複数回連対馬」なども含めたリピーターの多さを考えると、今年の登録馬のうち昨年2着のゴールドドリーム、一昨年2着のノボバカラはコース適性が証明されているぶん注目すべき存在ということになるだろう。

須田鷹雄の勝負予想はレース前日に公開予定です。

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