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【秋華賞】春の実績馬か夏の上がり馬か

  • 2019年10月11日(金) 18時00分

それぞれの有力馬の道悪適性はバラバラで…


 台風の影響で秋華賞は馬場状態が読めないが、こればかりはボヤいても仕方ない。あくまで勢力図を整理するという前提で見ていこう。

 秋華賞へのメインルートであるローズSはダノンファンタジーが優勝。スローをいったん下げてからの競馬になったが、それでも勝ったあたりやはり能力はあるし決め手がすごい。今回は最内枠を引いたので、どんな競馬をするかが問題。折り合いを考えて下げる形だと、馬群次第でややこしくなる。道悪もこの馬にはプラスにはならないだろう。

 当時2着のビーチサンバは馬場についてはある程度こなしそうだが、距離にギリギリ感がある。前走積極的な競馬をして引き出しが増えたので、それを生かして他馬が馬場に苦心した場合に浮上という狙いも。

 ローズS4着のシゲルピンクダイヤはさらに距離が厳しい。ダイワメジャー産駒は重賞レベルの2000m以上になるとぐっと成績が落ちる。もともと桜花賞2着がかなりの好騎乗でもあったので、地力でどこまでやれるかの問題はある。ただ道悪は歓迎だろう。

 クロノジェネシスはぶっつけなのでデキが問題だが、能力はやはり上位。上がり勝負でも平均ペースでも対応できるので軸としては頼りやすいが、道悪はどうか。この馬自身はバゴ産駒として特殊なタイプだが、バゴ全般としては芝の道悪はあまり走っていない。

 紫苑S組は1〜3着馬がそろって出走。1、2着馬はルーラーシップ産駒なので馬場はある程度対応できそうだが、春の重賞にも顔を出して負けているので、よほど成長していることが好走の条件になる。3着カレンブーケドールは明らかな良化途上だったので状態面の上積みはある。紫苑Sが苦手の上がり勝負になったので、スパート距離が長くなればそのメリットもある。一応ディープインパクト産駒なので道悪歓迎とは言いづらいが、キレない馬であるぶん、パンパンの良馬場より良い可能性は残す。

 上がり馬では3戦3勝のサトノダムゼルがやはり怖い。すでに重馬場をこなしている強みもある。初距離ではあるが、距離延長はむしろ歓迎材料だろう。

 エスポワールも前走重馬場圧勝なので期待が高まるところ。最近は2勝クラス→秋華賞が前ほど好走できなくなっているが、馬場が原因で実績組が凡走すればこの馬あたりが浮上する。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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