2002年のファインモーションを想う
レースの舞台は大きいほど、そこに登場する新興勢力に魅力を感じてしまう。何がいけないといって、そこにこだわりすぎてしまって失敗することではないか。
経験から得たもの、それは迷ったら過去から学び、そこに気持ちを切り換えるだった。一般的にも、困難が生まれたら過去から学ぶと言い、全てが一本の糸でつながっていると言われている。思い直すと片寄った思考が修正されていた。
秋華賞は京都の芝2000米(内回り)コースだが、ちょっとしたことでペースの緩急が変わるので、全ての馬が持てる力を発揮できるとは限らない。その分、騎手の判断が結果を左右することが多い。競馬は、人三馬七でその力の影響するところを言い表しているが、秋華賞は騎手のウェイトがそれより大きいとみていい。
そこで注目しているのが、騎手の成績欄にある連対率で、これもひとつの手だと思っている。もちろん番狂わせはあるし、勢いで壁を打ち破ってくれるという期待を特定の騎手に期待することもある。
今年は、桜花賞とオークスの勝ち馬が不在で、春から一変する馬か夏の上がり馬かという見方が出来るが、過去の秋華賞で春のタイトル馬が2頭とも出ていなかった例をさがしてみたら、なんと2002年まで遡ってしまった。この年は、桜花賞がアローキャリー、オークスがスマイルトゥモローだったがいずれも不出走、ここで勝利したのが外国産馬のファインモーションだった。
2歳の暮れ、阪神の新馬戦2000米を勝ってから馬体調整の期間を十分に取ったが、当時は外国産馬にクラシックは開放されていなかったこともあったろう。2戦目は3歳の8月で函館2000米で2勝目、そして札幌2600米の阿寒湖特別で3勝目と順調にステップアップし、デインヒル産駒でジャパンCの勝ち馬ピルサドスキーの妹という良血を開花させ、その勢いでローズSも圧勝して無敗のまま秋華賞に出ていた。
この時の単勝支持率が過去最高の72%、これに応えて最少キャリアの5戦5勝で勝ち、この時の単勝110円は、今でも破られていない。騎乗していた武豊騎手から、「強かったです。乗っていて本当に気持ちよかった。直線、内にモタれるのを矯正していたら、いつの間にか後ろが離れていた」という言葉が発せられていた。
当時デインヒル産駒と言えば、欧州でGI7連勝の新記録を作ったロックオブジブラルタルがいたが、これと並ぶことが出来ると讃えられ、この直後、エリザベス女王杯で古馬を一蹴し6戦全勝、史上初の無傷での牝馬の頂点に立っていた。これは新興勢力と言っても別格。今年はどんな筋書きを後世にのこしてくれるのか。何事にもこだわらず、しっかり見据えていきたい。