スマートフォン版へ

ディアドラが参戦予定のチャンピオンSの出走予定馬を紹介!

  • 2019年10月16日(水) 12時00分

3強に割って入りたいディアドラ


 10月19日(土曜日)にアスコット競馬場で行われるブリティッシュ・チャンピオンズ・デイへ向けた5日前登録が、現地14日の正午にあり、メイン競走のGIチャンピオンS(芝9F212y)には12頭がエントリーを残した。

 現時点におけるブックメーカーによる前売りマーケットを見ると、「三つ巴」の様相だ。

 そんな中、各社が3.5〜3.75倍のオッズを掲げて僅差の1番人気に推すのがマジカル(牝4、父ガリレオ)だ。前走のGI凱旋門賞(芝2400m)では、5着と今季8戦目にして初めて連対を外したが、馬場と展開の双方が合わなかったことは明白で、敗因ははっきりしている。ここも道悪は必至だが、距離的に12Fよりは10Fの方が競馬がしやすそうで、エネイブルもクリスタルオーシャンもいないこの顔ぶれなら、改めての期待をかけたい存在だ。

 3.75〜4.0倍のオッズで2番手評価となっているのが、ウィリアム・ハガスきゅう舎のアデイブ(セン5、父ピヴォタル)である。今季ここまで行われた一連の中距離GIには顔を出していない馬なので、耳馴染みがないというファンも多いと思う。4歳春にサンダウンのG3サンダウンマイル(芝8F)を制し重賞初制覇を果たした後、マイル路線のGIに2度挑むもいずれも大敗に終わり、4歳シーズンの終盤から10F路線に転身。

 今季2戦目となったロイヤルアスコットのLRウルファートンS(芝9F212y)を制し、この路線における初勝利を挙げると、続くG2ヨークS(芝10F56y)でエラーカムの2着に健闘。そして前走、8月10日にヘイドックで行われたG2ローズオヴランカスターS(芝10F100y)を制し、待望の重賞初制覇を果たしている。近3走の馬場状態は、Soft, Soft,Heavyで、道悪は間違いなく巧い。12日にニューマーケットのロウリーマイル・コースで行ったレースコース・ギャロップでも抜群の動きを披露。当初は「伏兵の一角」という扱いだったが、ここへ来て「主役の1頭」へと評価を上げている。

 4.0〜4.5倍のオッズで差のない3番手評価となっているのが、マジカルと同厩のジャパン(牡3、父ガリレオ)だ。2つのGIを含む3連勝で臨んだ前走GI凱旋門賞で、同世代のソトサス(牡3、父シユーニ)にも1/2馬身遅れをとる4着に敗れたが、期待の大きさからすると物足りないパフォーマンスだったと言わざるをえまい。だが、10F路線でもGIインターナショナルS(芝10F56y)でクリスタルオーシャンに先着した実績があるだけに、ここも出走してくれば争覇圏に入る馬と見るべきだろう。

 5.5〜7.0倍倍の4番手評価が、ジョン・ゴスデン厩舎のコロネット(牝5、父ドゥバウィ)だ。4度の2着を含めてGI入着を9度重ねた後、今年6月に仏国のGIサンクルー大賞(芝2400m)を制してGI初制覇を果たした同馬。続いて出走した、8月18日にドーヴィルで行われたGIジャンロマネ賞(芝2000m)でも、憑き物が落ちたかのように突き抜けてGI連勝を果たしている。このあと、GIエリザベス女王杯(芝2200m)にも登録があるだけに、日本のファンはことさらに注目する必要がありそうだ。

 続く5番手評価が、オッズ8〜15倍のディアドラ(牝5、父ハービンジャー)だ。前走GI愛チャンピオンS(芝10F)でも、直線でスムーズさを欠く競馬になりなから、牡馬相手に4着に健闘。ここも有力馬の1頭としての出走となる。3歳秋に重馬場のGI秋華賞(芝2000m)を制しているが、アスコットというタフなコースが舞台となる以上、馬場は乾いてくれるにこしたことはないと思うのだが、マジカルの項目でも触れたように、実情は道悪必至である。

 13日にコースを歩いた、アスコットにおける馬場メンテナンスの責任者クリス・スティッケッツ氏は、「私が知る限り、かつてなほど軟らかく、大量の水を含んだ状態」とコメント。アスコット地区には、9月21日以降の3週間で134ミリの降雨があり、ことにこの週末には30ミリという豪雨があったせいで、13日の段階での馬場発表は、Heavy (=不良)。周回コースの一部は冠水している部分もあるという、極悪の状態であった。

 そもそもシーズン末の英国で、良馬場を望む方が無理というもので、ブリティッシュ・チャンピオンズ・デイは、昨年も一昨年も Soft , Heavy in places round course (重、周回コースの一部が不良)という馬場状態での施行となっている。だが、現段階での状態はそれよりも悪く、苦肉の策としてアスコットは、内側にあるハードル用のコースを使用して、今年のブリティッシュ・チャンピオンズ・デイを開催することを検討している。

 内側のハードルコースは、原則として夏季は使用せず、したがって乾いた状態でも散水をしていない。その影響で、13日の段階での内回りコースは馬場は、Godd to Soft, Soft in places(稍重、場所によって重)と、外回りコースよりはだいぶ状態が良いのが実情だ。一方で、内回りコースは幅員が狭く、乗り慣れないコースに騎手たちがいかに対応するかが、重要なポイントとなりそうだ。

 ハードル用コースで平地競馬が行われれば、初めてのことになるだけに、アスコットが下す決断に関係者やファンの大きな注目が集まっている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング