これから大レースで1億円超馬の活躍を見る機会は多くなる
一般的なPOG期間からは外れる大レースだが、菊花賞はセレクトセール高額馬の1、2着となった。両馬とも2億円台だったが、セレクトセール1億円以上馬(税込・以下同様)のGIレースにおけるワンツーは史上初。複数頭が馬券に絡んだケースは2011年天皇賞秋のトーセンジョーダン1着・ペルーサ3着があるが、3歳GIでははじめてとなる。
最近は「1億円馬」のハードルがものすごく低くなっており、現2歳世代は競走馬登録済みの馬だけで36頭もいる。単純に該当馬が多いぶん、これからも大レースで1億円超馬の活躍を見る機会は多くなるだろう。
ただ、該当頭数が増えるとグループとしての平均水準は下がっている可能性がある。昔なら7000万円だった馬がいまのセリでは1億円、という状況だとしたら、以前の価格下位グループの成績に寄せられてくるからだ。
少ないサンプルのグループを評価するのは難しい。活躍馬が1頭出ると1頭あたり賞金や1走あたり賞金が大きく上振れするからだ。良い評価方法はないが、3世代ごと(現18〜21歳世代のみ4世代)に括って、JRAにおける勝馬率や本賞金の中間値も見ていこう。なお、未登録・不出走のまま終わった馬はカウント外とし、JRAでの成績のみを対象とする。
(数値は10月21日現在)
※は現役馬がおり、賞金の指標がここから伸びるグループなのでその点を注意してご覧いただきたい。
こうしてみるとセレクトセール初期の高額馬はなかなかのものだったが、その後グループとしての成績を下げ、現6〜8歳世代あたりから盛り返していることが分かる。現3〜5歳世代はここから賞金をまだ伸ばすが、さすがに頭数増による平均値・中間値の低下は避けられないというところか。それでも勝馬率は現9〜17歳の時期よりは良い。
頭数が増えても勝馬率が下がらないのは、ノーザンファーム高額馬と日高の標準的な馬の差が拡大している可能性もある。そうだとすればPOGでは「やっぱりノーザンファームの馬をクジで奪い合えばよい」となるのだが、本物の馬主はそうもいかない。実際に高額馬を買える予算を用意しなければならないからだ。しかもここでは「1億円馬」と括っているが、2億円台がビッドされることも普通になり、グループ内の平均価格は上がっている。
リアル馬主は、こういう状況を把握したうえで自分の趣味嗜好と相談し、どう立ち回っていくのか考えないと後々まで馬主を続けられなくなる。短期間に馬主を疲弊させて永続性が損なわれるのは、売り手も望まない話だろう。POGの野次馬は気楽なものだが、ゲーム性としては赤本でもしつこく書いているハンデ的なオプションルールを作ったほうが、やはり面白いのではないかと思う。