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桜花賞馬ジュエラーの全妹ピンクレガシー

  • 2019年10月23日(水) 12時00分
●アメリカンシード(牡 栗東・藤岡健一 父Tapit、母Sweet Talker)

 母Sweet Talkerはアメリカで走り18戦9勝。クイーンエリザベス2世チャレンジC(米G1・芝9f)、ディスタフH(米G3・芝8f)を勝った。繁殖牝馬としてもまずまず成功しており、産駒はまだ重賞を勝っていないものの、本馬の全姉Sweet TapperはミセスリヴェアS(米G2・芝8.5f)3着、半兄Perregaux(父Distorted Humor)はナショナルミュージアムオブレーシングホールオブフェイムS(米G2・芝8.5f)2着、という成績を挙げている。

 本馬の父TapitはA.P.Indy系のトップサイアーで、14年から3年連続で北米リーディングサイアーの座につき、2019年の種付料22万5000ドルは現在北米第2位。日本ではテスタマッタ(12年フェブラリーS-GI、09年ジャパンダートダービー-Jpn1)、ラニ(16年UAEダービー-G2)、ラビットラン(17年ローズS-GII、18年ブリーダーズゴールドC-Jpn3)などが重賞を勝っている。

 本馬は母も兄弟も芝で活躍したので、芝向きの資質を受け継いでいるはず。本当に良くなるのは古馬になってからもしれないが、気性に問題がなければ中距離で重賞級の活躍が期待できる。

●ヴィクトリーレーン(牡 栗東・清水久詞 父ヴィクトワールピサ、母カウアイレーン)

 京都新聞杯(GII)を勝ち、ホープフルS(GI)3着など重賞でも再三入着を果たしているステイフーリッシュ(父ステイゴールド)の半弟。母カウアイレーンはブラックホーク(01年安田記念-GI、99年スプリンターズS-GI)とピンクカメオ(07年NHKマイルC-GI)の半妹で、現役時代にクイーンS(GIII)で3着となったほか、2歳時に東京芝1600mのコースレコード(1分34秒7)を樹立した。良血を活かして繁殖牝馬としては成功している。

 本馬の父はヴィクトワールピサ。ジュエラー(16年桜花賞-GI)、スカーレットカラー(19年府中牝馬S-GII)、コウソクストレート(17年ファルコンS-GIII)、ブレイキングドーン(19年ラジオNIKKEI賞-GIII)、ミッシングリンク(18年TCK女王盃-Jpn3)などを出している。芝向きの中距離タイプ。

●サトノシャローム(牡 栗東・池江泰寿 父ロードカナロア、母シャムロッカー)

 母シャムロッカーはニュージーランド産馬で、AJCダービー(豪G1・芝2400m)とオーストラリアンギニーズ(豪G1・芝1600m)を制覇。母の父O'Reillyはニュージーランドで計4回リーディングサイアーとなった名種牡馬。基本的にはスピードタイプだが配合次第では長めの距離をこなす産駒も出す。

 父ロードカナロアはアーモンドアイ(18年ジャパンC-GI、19年ドバイターフ-首G1、牝馬三冠)、サートゥルナーリア(19年皐月賞-GI、18年ホープフルS-GI)、ステルヴィオ(18年マイルCS-GI)などの父で、本馬はサンデーサイレンスを持っていないので、ダノンスマッシュ(18年京阪杯-GIII、19年シルクロードS-GIII、キーンランドC-GIII)と同じ仲間。サンデーサイレンスを持たないロードカナロア産駒で上級クラスまで出世した馬は、イベリス(19年アーリントンC-GIII)、エイシンデネブ(オパールS-L・2着)、メモリーコロネット(阪神芝1400mレコード樹立)など現時点ではスピードタイプがほとんど。

 半兄サトノグロワール(父ディープインパクト)は長めの距離を得意としているが、本馬はラストタイクーン4×3も相まってスピード型に出るのではないかと思われる。

●ピンクレガシー(牝 栗東・藤岡健一 父ヴィクトワールピサ、母バルドウィナ)

 桜花賞馬ジュエラーの全妹、ワンカラット(09年フィリーズレビュー-GIIなど短距離重賞を4勝)の半妹。母バルドウィナはペネロピ賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬で、Northern DancerはもちろんNasrullahさえ持たない純ヨーロッパ風のアウトサイダー血統。それでいて産駒に重さが感じられないのは素晴らしい。

 父ヴィクトワールピサは現役時代にドバイワールドC(首G1)、有馬記念(G1)、皐月賞(GI)を制した名馬で、ジュエラーのほかにスカーレットカラー(19年府中牝馬S-GII)、コウソクストレート(17年ファルコンS-GIII)、ブレイキングドーン(19年ラジオNIKKEI賞-GIII)、ミッシングリンク(18年TCK女王盃-Jpn3)などを出している。

 本馬は近親にワントゥワン、サンシャインといった活躍馬が出ており、ファミリーの活力は旺盛。馬のデキが良ければ重賞クラスで活躍可能だろう。

●レッドデュラン(牡 栗東・角居勝彦 父エピファネイア、母レッドオーヴァル)

 母レッドオーヴァルはストロングリターン(12年安田記念-GI、11年京王杯SC-GII)の半妹にあたる良血で、現役時代に桜花賞(G1)2着、スプリンターズS(G1)3着といった成績を残した。2代母コートアウトはSmartaire 4×3という大胆な牝馬クロスの持ち主で、これがストロングリターンやレッドオーヴァルの競走能力に好影響を与えた鍵ではないかと推測される。

 本馬は新種牡馬エピファネイアの子で、母の父はディープインパクト。この組み合わせは現時点で7頭がデビューして4頭が勝ち上がっている。連対率63.6%。素晴らしい出足を見せており注目される。芝中距離タイプだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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