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アゼリの孫プライムフェイズ

  • 2019年10月30日(水) 12時00分
●インターミッション(牝 美浦・手塚貴久 父ディープインパクト、母レイカーラ)

 母レイカーラはダノンシャーク(14年マイルCS-GIなど重賞3勝)の半妹で、現役時代はターコイズS(OP)など5勝を挙げた。2代母カーラパワーはFame and Glory(09年愛ダービー-愛G1、11年アスコットゴールドC-英G1など欧州でG1を5勝)と配合構成が似ているものの、Caerleonの素軽さがうまく出ているので鈍重さは伝えていない。

 本馬はダノンシャークの4分の3同血で、「ディープインパクト×キングカメハメハ」はワグネリアン(18年日本ダービー-GI)、デニムアンドルビー(13年ローズS-GII、13年フローラS-GII)と同じ。母の初子で半姉フィオレドーロ(父オルフェーヴル)は現在4戦2勝と好成績を挙げている。母は繁殖牝馬として優れた資質を備えている。芝向きの中距離タイプ。

●ウインラディアント(牡 美浦・畠山吉宏 父オルフェーヴル、母サマーエタニティ)

 4分の3兄ウインブライト(父ステイゴールド)はクイーンエリザベス二世C(香G1)を含めて6つの重賞を制した。4分の3姉ウインファビラス(父ステイゴールド)は阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)2着、新潟2歳S(GIII)2着など好成績を挙げている。

 2代父ステイゴールドと母の父アドマイヤコジーンの組み合わせはニックスで、この2つの血を抱えた馬は、本馬の兄姉のほかにトオヤリトセイト(19年アーリントンC-GIII・3着)、ペルソナリテ(15年新潟2歳S-GIII・4着)、トゥラヴェスーラ(18年葵S-OP・2着)などが出ており優れている。

 アドマイヤコジーンの代表産駒でスプリンターズS(GI)を勝ったスノードラゴンは、ステイゴールドと同じロイヤルサッシュ牝系なので配合構成が近い。父がステイゴールドからオルフェーヴルに替わったので、少しパワー寄りに出るかもしれない。距離は2000mまでは守備範囲だろう。

●プライムフェイズ(牡 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母アメリ)

 母アメリは現役時代にダート3勝。距離はいずれも1400mだった。2代母アゼリは現役時代アメリカで24戦17勝、ブリーダーズCディスタフ(米G1)などG1を11勝した女傑で、米年度代表馬に選ばれただけでなく、すでに名誉の殿堂入りも果たしている。09年に米キーンランドのセールで吉田勝己氏が225万ドル(約2億225万円)で落札し、日本に連れてきた。

 アメリカ時代にWine Princess(13年フォールズシティH-米G2、13年モンマスオークス-米G3)を出しており繁殖牝馬としても上々の成績だ。母の父Distorted Humorは競走馬としてはさほど目立つ存在ではなかったが、種牡馬として成功し、Drosselmeyer(11年ブリーダーズCクラシック-米G1)、Funny Cide(03年ケンタッキーダービー-米G1、03年プリークネスS-米G1)、本邦輸入種牡馬フォーティナイナーズサンなどを出している。11年には米リーディングサイアーに輝いた。

 本馬は母の初子で、4分の3同血(父が同じで母同士が親子)にシルヴァンシャー(19年京都大賞典-GII・3着)、ロイカバード(16年京都新聞杯-GII・3着)などがいる。母の父にDistorted Humorが入るので母はMr.Prospector 3×3。叔父よりはパワーとスピードが増すので芝2000mあたりがベストの中距離馬だろう。

●ブルームスベリー(牝 栗東・西村真幸 父ハービンジャー、母エクセラントカーヴ)

 母エクセラントカーヴは京成杯オータムH(GIII)を勝ったほか、クイーンC(GIII)3着、関屋記念(GIII)4着などの成績を残した。2代母インディアナカーヴはA.P.Indyを父に持つ外国産馬で、現役時代は芝を中心に走り、13戦5勝の成績を残した。産駒は体質の弱いところが見られるものの、母エクセラントカーヴは頑丈なダイワメジャー産駒であったことが良かったのか、故障することなく重賞に手が届いた。

 本馬は「父ハービンジャー×母の父サンデー系×2代母の父A.P.Indy」。これと同じ配合構成からギモーヴ(16年フラワーC-GIII・4着)が誕生している。芝向きの中距離タイプ。

●ロルベーア(牡 栗東・浅見秀一 父ダノンシャンティ、母サクラサクII)

 母サクラサクIIはきわめて優秀な繁殖牝馬で、ヴィクトリアマイル(GI)と阪神牝馬S(GII)を勝ったエイジアンウインズ(父フジキセキ)のほかにエバーブロッサム(父ディープインパクト/13年オークス-GI・2着)、キュートエンブレム(父ウォーエンブレム/08年フローラS-GII・3着)、レッドサクヤ(父ディープインパクト/18年オークス-GI・4着)、パッシングマーク(父エルコンドルパサー/06年ベンジャミンS-OP)、ボーダーオブライフ(父キンシャサノキセキ/現3勝クラス)などを産んでいる。

 本馬は母が20歳時の産駒で、父がダノンシャンティ。したがってエイジアンウインズの4分の3弟にあたる。2代父フジキセキはデインヒルと相性が良く、エイジアンウインズのほかにストレイトガール(15年スプリンターズS-GI、15、16年ヴィクトリアマイル-GI)がこの組み合わせを持っている。本馬は芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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