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【アルゼンチン共和国杯】去勢することで成功する可能性が高くなる一族に注目

  • 2019年11月02日(土) 18時00分

これから一段と強く、タフになるはず


 アルゼンチン共和国杯にはセン馬が2頭。京都のみやこSにもセン馬が2頭いる。日本では伝統的に現役競走馬のうちは去勢しないことが多いが、海外では体質強化、気性難解消などの目的で、セン馬は少しも珍しくない。リスグラシューの勝ったコックスプレート(豪)には、牡馬はわずか3頭、セン馬が7頭もいた。

 去勢されてセン馬になった当初は、体重が大きく減るなど、体調回復に時間がかかることが珍しくない。だが、AR共和国杯のアフリカンゴールドはすぐに結果を出した。

 去勢直後の2走前は4着(0秒1差)に負けたが、馬体重減は少なく、上がり33秒8は自己最高だった。前走の六社Sの468kgは、ここまで計6回の連対時の馬体重のなかで最高。一段と鋭い上がり33秒6で抜け出している。

 4歳上の半兄アフリカンブルーは、途中からセン馬になってJRA、公営通算43戦18勝の成績を残した。さらに、その4歳上の半兄アフリカンストーリー(英産)は、セン馬として、14年のドバイワールドCなどGI2勝を含め、21戦【8-4-3-6】の活躍馬だった。

 さらには、最近まで現役の8歳馬だったジャッカスパークは、アフリカン兄弟のいとこの産駒にあたるが、セン馬になって、障害を含め34戦5勝。アフリカンストーリーのオーナーはゴドルフィンだった。アフリカンゴールドのオーナーもゴドルフィン。おそらく、セン馬にすることによって成功する可能性が高くなる一族、という見方なのだろう。

 条件戦を勝って昇級し、今回は久しぶりの重賞挑戦。C.ルメール騎乗とあって予測された以上に人気になったが、55kgでこの組み合わせなら好勝負だろう。体質強化に成功し、ハードに追いながら以前よりずっとシャープに動いている。

 3歳時までのクラシック中心のビッグレースにはセン馬の出走は不可だが、4歳以降は、天皇賞やジャパンC、有馬記念にも出走可能。ステイゴールドのタフな成長力も加わり、アフリカンゴールドはこれから一段と強く、かつタフになるはずだ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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