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【マイルCS】重くも軽くもない標準馬場で恵まれる馬とは

  • 2019年11月12日(火) 18時03分
馬場虎太郎

標準馬場で行われた昨年はステルヴィオが勝利


「ウマい馬券」で4年連続プラス収支(回収率100%超)を叩き出す馬場虎太郎氏が、トラックバイアスをもとに馬場を分析。その結果をベースに週末のレース傾向を展望し、主に日曜メインレースの「注目の1頭」を紹介していく。


今年のマイルCSで狙える馬とは?


 先週の京都芝はBコースに替わり2週目。雨の影響なく乾いた状態だったが、ここまでの開催のダメージが残っており路盤は傷み気味。馬場コンディションは重くも軽くもない「標準」

 土曜に行われた外回りのレースや、当日をみても後方から届きやすく、内を通ることが有利にはならない馬場だった。

 しかし、このトラックバイアスを各騎手が意識したため、エリザベス女王杯は極端なスローペースになってしまった。各馬の動きもみられず、先行有利な展開。

 勝ったラッキーライラックは道中の立ち回りが完璧だったが、このスローペースの中1馬身1/4抜けた。着差以上に強く、まさに完勝と言っていい内容だった。

 今週からの京都芝はCコース替わり。傷みは多少カバーされるが、今の路盤の状態から先週と大差ない「標準」の馬場コンディションが想定される。

 過去4年、マイルチャンピオンシップが馬場コンディション「標準」で行われたのはミッキーアイルが制した2016年とステルヴィオが制した昨年。

 この2回では3着内に好走した6頭全てが最初のコーナー7番手以内。3頭が2番手以内で通過している。軽い馬場コンディションであれば、トーセンラーが制した2013年やモーリスが制した2015年のように33秒前半の高速上がりで差しきるようなレースもみられるが、標準的な馬場コンディションの場合はある程度流れにのったうえで直線でも脚を使う馬が有利。

 今年の出走メンバーをみると、芝中長距離で高いパフォーマンスを示している実力馬が揃っている。

 なかでも今年のG1ではメンバー、内容とも最上位だった天皇賞秋からダノンプレミアム、アルアインの2頭が出走予定。

 今年の天皇賞秋は軽めの馬場コンディションで行われ、トラックバイアスは「内有利」。

 東京芝2000mはスタートからコーナーまでの距離が近いコース構造もあって内枠、内を通るほうが有利。

 ただし、近年の天皇賞秋は「軽い馬場」で行われた場合、コース取りや位置取りはそれほど問われない。(当時の当コラムでも解説した。当時のコラムはこちら)

 今年の天皇賞秋は上位人気馬が強力だったこともあり、最終的に公開した予想ではダノンプレミアムを本命にし、馬券も絞って的中することができた。

 ダノンプレミアムのレース内容を振り返ると、敢えて内を通ることを避けて、真ん中の枠から道中は終始2〜3列目を通ることにより、この馬自身のパフォーマンスを発揮する形。2着を確保したが、最内を通っていたアーモンドアイが圧勝。逃げたアエロリットが3着になったように、レース自体は内有利だった。

 私の判定ではダノンプレミアムはコース取りによって、1馬身強の不利があった。過去に示した能力はマイルCS出走馬では抜けて強い。

 しかし、この馬にとって課題となるのが状態面。今回は自身初となる間隔を詰めた臨戦過程。前走時の解説でも触れたように、未だにレースで最大限のパフォーマンスを披露したことがない。戦歴以上に能力を秘めた馬ではあるが、1番人気も予想されるので、追い切りや最終的な調整過程を含めて慎重に判断する必要がある。

 アルアインは大外16番枠。前半出してポジションを取ろうとしたが行ききれず、終始外を通る形になった。昨年の天皇賞秋よりも位置取りとコース取りは悪かったが、前半の追走タイム自体は今年の方が速い。大きく離されて、内容が良いとは言えないが、ハイレベルなレースで不利があってのものと考えれば、悲観する必要はない。ダノンプレミアムの相手としても期待できるが、ダノンプレミアムが力を出せない状態だったら、チャンスはさらに広がる。

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トラックバイアス(馬場の偏り)を利用した馬券術を用いる馬場分析のプロフェッショナル。JRA発表の馬場状態ではなく独自の指標(※)を用いて真の馬場適性を分析、またパトロールビデオと綿密なデータ分析によって「トラックバイアスの不利」を受けた馬を導き出す。 ※「軽い」「稍軽い」「標準」「稍重い」「重い」の5段階で馬場状態を評価

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