サンデーサイレンスとその直系種牡馬の産駒はこのレース11勝
かつて、日本のGIでもっとも順当な結果が多かったマイルCSは、最初の10年間の1番人気馬は【6-4-0-0】だった。ところが、最近10年の1番人気馬は【1-2-2-5】。目下、9連敗をつづけている。
理由はさまざまだが、「この距離ならまず崩れない力量」をもつ真のチャンピオン出現は少なく、モーリス、ロードカナロアなど海外でも完勝した馬は別に、高速馬場のもたらす速い時計に幻惑されているうちに、マイル、スプリント部門でレベル停滞が生じているからだ、という理由はある。ドバイでも香港でも通用する馬は少ない。
このマイル路線で時どき結果を残している現有勢力ではなく、マイラー部門の新しいグループに期待したい。
3歳ダノンキングリー(父ディープインパクト)は、ここまで6戦【4-1-1-0】。まだビッグタイトルはないが、3着の皐月賞は頭、鼻差(0秒0)。日本ダービー2着もクビ差(0秒0)だけ。ここまで6戦すべて人気以上の着順を記録し、底をみせていない魅力が大きい。
1800m以下では4戦4勝。前回の毎日王冠では、それぞれ万全の状態ではなかったとはいえ、マイル路線のトップグループにいるアエロリット、インディチャンプ、ペルシアンナイト、モズアスコットなどを問題にしなかった。
54キロの負担重量が味方した面もあるが、こちらは出負けして最後方追走。いつもの形ではなかったから逆に価値がある。総合力で日本ダービー2400mを2分22秒6で乗り切っているが、やはり本質はスピード系に近い。
ダート1400m以下で14勝もした半兄ダノンレジェンド、17年の3歳牡馬チャンピオンに輝いた母の半弟半弟WestCoast(ウエストコースト、USA)。祖母Caressing(カレッシング、USA)など、一族のGI級の活躍馬はほとんどがスピード系でもある。
まだ歴史の浅いGIだが、サンデーサイレンスと、ディープインパクトなどその直系種牡馬の産駒は、このGIを11勝もし、スピード色の濃い牝馬との間の産駒はマイラーとして活躍する。
前回の出負けはたまたまのことで脚質は自在。今回、マイルCSにしては前半スローの流れも予測されるが、歴代最多勝タイの3勝【3-1-2-10】を記録する横山典弘騎手が空いていたのは幸運。ペース判断に読み違いやぬかりはない。95年トロットサンダー、09年カンパニーでは中位差し切り。97年タイキシャトルは好位から抜け出して勝っている。
侮れない相手は多いが、レイエンダ(父キングカメハメハ)もマイル路線に参入してきたばかり。前回富士Sの1分33秒1は決してほめられたものではないが、大外から上がり33秒0。高いマイル適性は示した。今回は初ブリンカー装着。もまれない外枠は有利になるはずだ。
ただ、初の関西遠征になるダノンキングリーと、初めてレース間隔を取らないで出走するダノンプレミアム2頭(1-2番人気馬)のパドックの気配には注意したい。