スマートフォン版へ

【マイルCS】マイラー部門の新しいグループに期待

  • 2019年11月16日(土) 18時00分

サンデーサイレンスとその直系種牡馬の産駒はこのレース11勝


 かつて、日本のGIでもっとも順当な結果が多かったマイルCSは、最初の10年間の1番人気馬は【6-4-0-0】だった。ところが、最近10年の1番人気馬は【1-2-2-5】。目下、9連敗をつづけている。

 理由はさまざまだが、「この距離ならまず崩れない力量」をもつ真のチャンピオン出現は少なく、モーリス、ロードカナロアなど海外でも完勝した馬は別に、高速馬場のもたらす速い時計に幻惑されているうちに、マイル、スプリント部門でレベル停滞が生じているからだ、という理由はある。ドバイでも香港でも通用する馬は少ない。

 このマイル路線で時どき結果を残している現有勢力ではなく、マイラー部門の新しいグループに期待したい。

 3歳ダノンキングリー(父ディープインパクト)は、ここまで6戦【4-1-1-0】。まだビッグタイトルはないが、3着の皐月賞は頭、鼻差(0秒0)。日本ダービー2着もクビ差(0秒0)だけ。ここまで6戦すべて人気以上の着順を記録し、底をみせていない魅力が大きい。

 1800m以下では4戦4勝。前回の毎日王冠では、それぞれ万全の状態ではなかったとはいえ、マイル路線のトップグループにいるアエロリット、インディチャンプ、ペルシアンナイト、モズアスコットなどを問題にしなかった。

 54キロの負担重量が味方した面もあるが、こちらは出負けして最後方追走。いつもの形ではなかったから逆に価値がある。総合力で日本ダービー2400mを2分22秒6で乗り切っているが、やはり本質はスピード系に近い。

 ダート1400m以下で14勝もした半兄ダノンレジェンド、17年の3歳牡馬チャンピオンに輝いた母の半弟半弟WestCoast(ウエストコースト、USA)。祖母Caressing(カレッシング、USA)など、一族のGI級の活躍馬はほとんどがスピード系でもある。

 まだ歴史の浅いGIだが、サンデーサイレンスと、ディープインパクトなどその直系種牡馬の産駒は、このGIを11勝もし、スピード色の濃い牝馬との間の産駒はマイラーとして活躍する。

 前回の出負けはたまたまのことで脚質は自在。今回、マイルCSにしては前半スローの流れも予測されるが、歴代最多勝タイの3勝【3-1-2-10】を記録する横山典弘騎手が空いていたのは幸運。ペース判断に読み違いやぬかりはない。95年トロットサンダー、09年カンパニーでは中位差し切り。97年タイキシャトルは好位から抜け出して勝っている。

 侮れない相手は多いが、レイエンダ(父キングカメハメハ)もマイル路線に参入してきたばかり。前回富士Sの1分33秒1は決してほめられたものではないが、大外から上がり33秒0。高いマイル適性は示した。今回は初ブリンカー装着。もまれない外枠は有利になるはずだ。

 ただ、初の関西遠征になるダノンキングリーと、初めてレース間隔を取らないで出走するダノンプレミアム2頭(1-2番人気馬)のパドックの気配には注意したい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング