スマートフォン版へ

やはり日本馬には日本人騎手なのか

  • 2019年11月23日(土) 12時00分

騎手の判断が勝負を大きく左右する


 出走馬の中に3世代のダービー馬や、2年前のジャパンカップ馬、去年の大阪杯の勝ち馬がいるといっても、この一年でGIを勝った馬が一頭もいないという顔ぶれ。しかも外国馬がゼロで重賞未勝利馬が5頭もいるという今年のジャパンカップは、これまでとは異なる情況と言っていい。

 3歳牝馬アーモンドアイが、昨年2分20秒6の世界レコードをマークしたように、高速化が著しく進んでいる日本の競馬を、諸外国が敬遠しているのではないかとか、複雑すぎる検疫問題などが言われているが、曲がり角に来ていることは確かだ。そのかわりと言ってはなんだが、超一流の外国人騎手が揃い、その競演に興味が移っている。ならば日本人にそれを阻止してほしいとも思うが、果たして。

 そもそも競走馬には先天的に与えられたものがあり、その資質、性格、体型、もちろん血統など、運命が与えた条件をしっかり受け入れ、それを最大限に生かしていかなければならない。そこで係わる人間の存在が生きてくる。競馬では、人三馬七という言葉があるが、大レースになるほどその比率は変わり、ジャパンカップになると、人五馬五ぐらいではないだろうか。その馬をどう走らせるか、騎手の判断が勝負を大きく左右する。

 ジャパンカップは、府中のコース形態、長い直線、坂などを考え、前半はそんなに速くはならない。はっきりしているのは、外枠に先行したい馬が入ったときはペースが遅くなることはないということだ。中団につけて直線一気に差してきたショウナンパンドラのときがその典型と言っていい。逆に、キセキが逃げてアーモンドアイが2番手につけていた昨年や、キタサンブラックの先行を道中4番手で見ていて差し切ったシュヴァルグランの一昨年などは、いずれも先行勢が内よりの好枠を引き、ペースは遅かった。また、3年前に逃げ切ったキタサンブラックは1番枠で、武豊騎手は1000米61秒7のスローに落していた。

 ペースが遅いと、大体が中枠から内に入った馬が有利になっている。それは、内の好ポジションにつけられるからだ。ここに出てくる馬は、それぞれが背負った運命を受け入れ、どう生かすかの採算がとれている筈だから、果たして自分の入った枠が合っているかどうかがポイントになる。

 毎年秋に体調を上げてくるレイデオロ、去年天皇賞10着からこの一番で3着に入ったスワーヴリチャードは、今年は7着からここを狙って坂路で調整している。大きなストライドで騎手が気に入っているシュヴァルグラン、インで脚をためられればコース適性の高いムイトオブリガード、騎手との化学反応に期待したいルックトゥワイスなど、見所は多い。一方、津村、川田、岩田の日本人騎手は絶好の枠を引いた。レイデオロを軸に各馬に流すのがいいと思っている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング