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【ジャパンC】2003年以来の渋馬場、あの産駒に注目

  • 2019年11月23日(土) 18時02分

ディープインパクト産駒の持ち味が活きない可能性


 ジャパンCは、もう15年も連続して良馬場だった。だが、今年は土曜日の「不良馬場」から多少の回復があっても、渋馬場(稍重、重馬場)の可能性が高い。2分20秒6の大レコードの昨年とは一転、速くても2分25秒台の決着か。もっとかかる危険もあり、高速馬場の記録が各馬の能力基準になっているが、軽いレースではなく、2400m向きの底力と、パワーの勝負。渋馬場適性は大きなポイントになる。

 今年の出走馬だと、ステイゴールド、ルーラーシップ、キングカメハメハ産駒には減点が少ないだろう。もちろんこれは父(種牡馬)だけのこと。

 あくまで総じてだが、ディープインパクト産駒は切れ味、スピード能力の優秀性が減じるので、有利ではない。ハーツクライ産駒には重巧者もいるが、大跳びでジワジワ伸びるタイプは、案外、渋馬場は歓迎ではない。

 ステイゴールド産駒は、ゴールドシップ、オルフェーヴル、ナカヤマフェスタ、レインボーラインなど、渋馬場を苦にしない産駒が非常に多い。良馬場でも好勝負と思えるルックトゥワイスは、渋馬場でロスのある大跳びでもない。母方に欧州血脈が濃く、2400-2500mに良績集中のスタミナが生きる可能性が高い。

 さまざまな条件の世界のビッグレースで無類の成績を残すL.デットーリ騎乗なら、みんなが能力減必至の渋馬場でのマイナスを最小限にとどめてくれる。8年ぶりに来日したデットーリは、土曜日の東京3R芝(不良)でいきなり抜け出して勝った。

 人気急落のエタリオウは、この馬場で気性難さえ出なければ、渋馬場で詰めの甘さが解消され、菊花賞2着の底力全開の可能性がある。横山典弘騎手は今回が連続して3回目の騎乗であり、思い切ったレースをしてくれるだろう。

 ルーラーシップは不良馬場でGII2勝。産駒のキセキも不良馬場の菊花賞馬。そのキセキの勝った菊花賞で5着のダンビュライトはタフなパワー型が多いキャサリンパー(祖母)の一族。次週のチャンピオンズCに5戦無敗で出走するクリソベリルの母は、母タンザナイトの妹になる。この馬は明らかに渋馬場の方がいい。

 ムイトオブリガードは、祖母シンコウラブリイが快速馬ながら、Caerleonカーリアン(父Nijinsky)産駒らしく重、不良2戦2勝だった。緩い馬場を嫌うムイトオブリガードの渋馬場はマイナスとされているが、まだ下手とは限らない。

 キングカメハメハ産駒の評価は難しいが、人気のユーキャンスマイルの牝系はずっと欧州育ち。母ムードインディゴ(01年のオークス2着馬チャペルコンサートの妹)あたりから、距離適性の幅を広げたスタミナ兼備型が誕生しているので、底力勝負は歓迎に近い。マイナスはないはずだ。

 ハーツクライのスワーヴリチャード、シュヴァルグランは、ともにパワーあふれる迫力のスタミナ兼備型で、渋馬場不安はないようにも思えるが、滑るような馬場は得意ではないイメージがある。能力減はないと思いたいが、土曜日の不良馬場を見ているとちょっと心配になってきた。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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