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世界の来季種付け料の動向について(後編)

  • 2019年11月27日(水) 12時00分

欧州供用種牡馬で最も高額となったのは…


 北米編をお届けした先週に引き続き、今週のこのコラムは、欧州供用種牡馬の2020年の種付け料をご紹介したい。

 金額を公示している種牡馬で、欧州で種付け料が最も高額なのは、前年に引き続いてドゥバウィ(父ドバイミレニアム)となった。ニューマーケットのダルハムホール・スタッドで供用中の同馬の種付け料は、前年から据え置きの25万ポンド(約3610万円)と発表されている。

 今年も、G1サセックスS(芝8F)など2つのG1を制したトゥーダーンホット(牡3)、G1ドバイシーマクラシック(芝2410m)など2つのG1を制したオールドパージアン(牡4)、G1サンクルー大賞(芝2400m)など2つのG1を制したコロネット(牝5)、G1バーデン大賞(芝2400m)をぶっちぎったゲイヤース(牡4)、北米でG1ガルフストリームパークターフH(芝9F)を制したアルマナール(セン7)ら、数多くのA級馬を輩出。欧州全域のサイヤーランキングで、ガリレオに次ぐ2位につけている。

 今年10月のタタソールズ・オクトーバーイヤリングセールでも、G1セントジェームスパレスS勝ち馬バーニーロイの半弟となる父ドゥバウィの牡馬に、セール最高値の360万ギニー(約5億4579万円)が付いたのを筆頭に、英愛の1歳馬市場に上場された産駒は平均価格54万7800ギニー(約7910万円)で購買されており、マーケットにおける評価も非常に高い。25万ポンドというのは相場に相応しい価格と言えよう。

 今季も2位以下を大きく引き離し、10年連続11度目のリーディングの座を確実にしているガリレオ(父サドラーズウェルズ)は、近年は種付け料を公示しておらず(Privateの表示)、また、昨年4000万円だったディープインパクトが今年の夏に亡くなったため、金額が公示されている種牡馬では、ドゥバウィが世界で最も高額な種付け料が設定された種牡馬となった。

 欧州供用馬でこれに続くのが、ニューマーケットのバンステッドマナーで供用中のフランケル(父ガリレオ)で、来季の種付け料は前年から据え置きの17万5千ポンド(約2527万円)と発表されている。

 19年も、G1ジェベルハタ(芝1800m)勝ち馬ドリームキャッスル(セン5)、G1ファルマスS(芝8F)勝ち馬ヴェレイシャス(牝4)、G1セントレジャー(芝14F115y)勝ち馬ロジシャン、G1英オークス(芝12F)勝ち馬アナパーナ(牝3)、G1フィリーズマイル(芝8F)勝ち馬クオドリラテラル(牝2)など、各世代から様々な距離カテゴリーの活躍馬が登場。史上最強馬の面目躍如たるところを示している。

 そして、19年の7万5千ポンドが、20年は倍増の15万ポンド(約2166万円)となることが発表され、欧州供用種牡馬では第3位に浮上することになったのが、フランケルと同じバンステッドマナーで供用されているキングマン(父インヴィンシブルスピリット)だ。

 今年3歳の初年度産駒から、G1仏二千ギニー(芝1600m)勝ち馬パージアンキング(牡3)を筆頭に、G2ギョームドルナーノ賞(芝2000m)など2重賞を制したヘッドマン(牡3)、G1セントジェームズパレスS(芝7F213y)2着馬キングオヴコメディ(牡3)らが登場。更に今年の2歳世代からも、G3プレスティージS(芝7F)勝ち馬ブーマーらが現れ、わずか2世代しか稼働していないのに、欧州全域のサイヤーランキングで14位に食い込んでいる。

今年10月のタタソールズ・オクトーバーイヤリングセールでも、G1・5勝馬フェイムアンドグローリーの甥にあたる父キングマンの牡馬が、230万ギニー(約3億4870万円)で購買されるなど、マーケットにおける評価も高い。

 これに次ぐのが、19年の13万5千ユーロが20年は15万ユーロ(約1826万円)に増額となるシーザスターズ(父ケイプクロス)と、19年の10万ユーロが20年は15万ユーロ(約1826万円)に増額となるノーネイネヴァー(父スキャットダディ)の2頭だ。

 愛国のギルタウンスタッドで供用中のシーザスターズは、既に確固たる実績を築いている種牡馬だが、G1プリンスオヴウェールズS(芝9F212y)勝ち馬クリスタルオーシャン(牡5)、G1ゴールドC(芝19F210y)など2つのG1を制したストラディヴァリウス(牡5)、G1ブリティッシュチャンピオンズ・フィリーズ&メアズ(芝11F133y)など3つのG1を制したスターキャッチャー(牝3)らが出た19年は、過去最高のシーズンだったと言って良さそうだ。

 愛国のクールモアで供用中のノーネイネヴァーは、初年度産駒となる3歳世代から、G1ジュライC(芝6F)勝ち馬テンソヴリンズ(牡3)が登場。2世代目となる2歳世代からも、G2コヴェントリーS(芝6F)勝ち馬アリゾナ(牡2)、G2スーパーレイティヴS(芝7F)勝ち馬ミステリーパワー(牡2)、G2クリテリウムドメゾンラフィット(芝1200m)勝ち馬シャドゥン(牝2)らが現れている。

 注目の新種牡馬は、18年の2歳牡馬チャンピオンで、19年もG1サセックスSなど2つのG1を制したトゥーダーンホット(父ドゥバウィ、ダルハムホール供用)が、5万ポンド(約722万円)。ロイヤルアスコットのG1キングズスタンドS(芝5F)とG1ダイヤモンドジュビリーS(芝6F)を中3日で連覇したのを含めて、通算で4つの短距離G1を制したブルーポイント(父シャマーダル、ダルハムホール供用)が、4万5千ポンド(約650万円)と発表されている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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