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名手の手綱捌きに痺れたジャパンCと期待が膨らむ2歳馬

  • 2019年11月27日(水) 18時00分

外国馬は不在でも名手揃いで見応え十分


 ジャパンC(東京・GI・芝2400m)はディープインパクトメモリアルデーと称して、大変な盛り上がりをみせてくれました。

 創設39年目にして初めて外国馬の出走がないジャパンCでしたが、海外の5人の名手が揃い、レース中の駆け引きは見応え十分でした。

 馬場が悪い中、内をついて突っ込んでくるO.マーフィー騎手の判断は、素晴らしかったと思います。

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マーフィー騎手の好判断が光り、スワーヴリチャードが快勝!(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 O.マーフィー騎手「馬場の悪い内からしっかり脚を使って伸び、強かったです。世界でも権威のあるレースを勝つことができ最高にうれしいです」

――イギリスの名手が24歳にして大きなタイトルを手に、歓喜のコメントでした。

 スワーヴリチャードの復活勝利おめでとうございます!GI2勝目。庄野先生が目を細めてにっこり笑う顔が浮かびます。

 ジャパンC前週に栗東トレセンに取材へ行った際に、O.マーフィー騎手が「乗り易い馬で感触もよく力強く走ってくれる。リチャードとコンタクトをとりながら乗り、いい結果が出せるように頑張りたいです。北海道へ行きリチャードのおとうさんハーツクライにも会ってきました。楽しみです」と話していたので、凄く嬉しいです。おめでとうございます!

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マーフィー騎手と通訳の安藤さん。先週の栗東トレセンの取材にて


 そんな中、日本の津村騎手が、きらりと光る騎乗ぶり。見事だったと思います。それだけに悔しい2着。

 日本馬の強さを証明したようなレースでした。凱旋門賞を勝つ馬が出て来る日もそう遠くないような気がしました。

 また、ジャパンC前日の土曜日には京都で京都2歳S(京都・GIII・芝2000m)が行われ、マイラプソディが3連勝で重賞初制覇。武豊騎手が年間100勝を達成した日に重賞勝ち。まるでディープインパクトかと思うほどの強い勝ちっぷりでした。

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京都2歳Sを勝利したマイラプソディと武豊騎手のコンビ(c)netkeiba.com


 ディリー杯2歳S(京都・GII・芝1600m)勝ちのレッドベルジュール、東京スポーツ杯2歳S(東京・GIII・芝1800m)を勝ったコントレイルと年末、そして来年へ向けて楽しみな馬が出揃いました。友道厩舎、藤原厩舎、矢作厩舎と、何れも名門厩舎の管理馬とあって、これからも注目していきたいと思います。

 寒い季節になってきましたが、ぜひ皆さんも生観戦し、競馬を楽しんでください。

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 東京スポーツ杯2歳S(東京・GIII・芝1800m)を勝ったコントレイルのお祝いに矢作厩舎を訪れました。

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東京スポーツ杯2歳Sを圧巻のレコードで勝利したコントレイル(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 R.ムーア騎手が騎乗し、1番人気に支持されたコントレイル号。5馬身差の圧勝で重賞初制覇を果たしました。おめでとうございます!JRAレコードでの快勝に、矢作調教師も身震いしたそうです。「僕の想像をもっと超えてほしい。2000mは行けるでしょう」とコントレイルの将来に大きな期待をかけていました。

 コントレイルの担当助手金田さんにお話をお聞きしました。

金田 新馬戦の時から追い切りに騎乗し、52秒台で走ってるので凄いと感じていました。体重が軽い騎手だと出る時計ですが、僕はそれよりはるかに重いのによく走ってくれるので期待していました。

常石 坂路で早い時計を出す馬は、スプリントで活躍することが多い印象ですが1800mでの圧勝劇とは…強い馬ですね。

金田 この馬は折り合いがスムーズにつくから大丈夫です。

常石 次走のご予定は?

金田 ホープフルSに行く予定だと先生が話していましたね。

常石 来春のクラシックが楽しみですね。

金田 はい、期待しています。僕の仕事は、この馬が無事に過ごせるように気を付けることです。いい結果が出せるように懸命に世話をします。

常石 楽しみにしています。

 続いてマイルチャンピオンシップ(京都・GI・芝1600m)をインディチャンプで制覇した音無厩舎へ。担当の徳川助手に話をお聞きしました。

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調教中のインディチャンプ


常石 おめでとうございます。乗り替わりでも見事に勝ってくれましたね。

徳川 ありがとうございます。池添騎手が上手く乗ってくれました。いろいろ癖のある馬なので福永騎手が工夫されていたので、急遽の乗り替わりは少し不安がありましたが、福永騎手からクセはしっかり聞いているといっていました。京都のマイルは上手い馬ですね。

常石 急な乗り替わりの不安を見事に吹っ切ってくれましたね。これで春・秋マイルGIを制覇しましたね。

徳川 GIを勝つと馬に風格が出てきますね。

常石 次走は決まっているんですか?

徳川 予定では、香港へ行く予定です。騎手はD.レーン騎手にお願いしていますが香港の情勢が不安定なのが少し心配ですね。また調教師と馬主さんとで最終決定されると思います。

常石 参戦できたらいいですね。他の日本馬も沢山行く予定ですし、活躍楽しみにしています。

徳川 ありがとうございます。頑張ります。

 またまた後追いの形になり、このコラムが掲載される27日にはジャパンCの結果が出ているので、みなさんのお役にたてずに残念です。次回は香港競馬参戦状況の取材をする予定ですので楽しみに待っていてくださいね。

 山は紅葉真っ盛りで華やかです。競馬も盛り上がり、華やかなレースが続いていきます。ぜひ楽しんでください。

 つねかつこと常石勝義でした。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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