近年では特殊な長距離3600m
クビ差や0秒1差の接戦になる短距離戦と異なり、「長距離戦こそ時計勝負」という考え方はある。8歳アルバート(父アドマイヤドン)が2017年にこの重賞3連覇を達成した際の「3分43秒0」は、史上2位の快時計だった。そこでアルバートは昨年、歴史的な「4連覇」を狙っていた。
だが、天皇賞(春)、宝塚記念など、ちょっと厳しいレースに出走しすぎたためか、肝心のこのレースは脚部難で出走取り消しになってしまった。勝ったのは今年2連覇のかかるリッジマン(父スウェプトオーヴァーボード)。1番人気で快勝したが、勝ちタイムは「3分45秒2」だった。
そのリッジマン、強気に中2週で有馬記念に出走すると、疲れもあったのか、見せ場を作って9着に善戦したオジュウチョウサン(父ステイゴールド)から、0秒4離された12着に終わっている。
前回の京都大賞典(2秒8差16着)をひと叩きしたアルバートも、同じ京都大賞典(1秒9差13着)を叩いてここを目標にしたリッジマンも、ちょっと本来のしぶとさを欠く形だったアルゼンチン共和国杯(1秒3差12着)をステップにしたオジュウチョウサンも、もちろん有力候補。
8歳で勝った馬も、10歳で勝った超ベテランホースも、9歳で2着した馬もいる近年では特殊な長距離3600mだが、候補の3頭ともに直前のレースに本来の「懸命にがんばるステイヤー」らしいところが乏しかった。変わり身を見込んでもそうは強気になれないだろう。
直前の最終追い切りはやや物足りなかったが、立て直しを図って入念に乗り込んできた5歳ヴァントシルム(父ジャングルポケット)に注目したい。
強気になれる実績はないが、休み明けだった前々走の札幌日経オープン(L)2600mは、最後方追走から2周目の向こう正面で強気にまくって出て、3コーナー先頭。最後は4着に沈んだものの、今回も対戦するモンドインテロ(父ディープインパクト。昨年のステイヤーズS0秒4差3着)には先着し、勝ち馬カフジプリンス(阪神大賞典2着馬)と0秒2差だった。ステイヤーの資質は十分にある。
昨年12月のグッドラックH(中山2500m)を制した際が休み明け。ポン駆けは効く。母の父マンハッタンカフェ。祖母は女傑メジロドーベル。まだこれから強くなる可能性を秘めている。強気に出動するレースではないので、伏兵ヴァントシルムから流したい。