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【チャンピオンズC】大器とされた超大型馬がやっと本物に

  • 2019年11月30日(土) 19時01分

左回りダートで能力全開、血統での裏付けも十分


 中京ダート1800mに移ったのは2014年から。過去3年連続して1分50秒1で決着しているように(15年も1分50秒4)、快時計の決着でも、極端なパワー勝負でもなく、安定したダートの中距離能力が問われる。14年以降の5年間、

 ▽3歳馬… 9頭【1-1-0-7】
 ▽4歳馬…20頭【1-0-1-18】
 ▽5歳馬…18頭【1-2-2-13】
 ▽6歳馬…16頭【2-2-1-11】
 ▽7歳上…14頭【0-0-1-13】

 たった5回の記録などデータになどなりようがないが、なぜかタフでしぶとい6歳馬の3着以内率.313が光っている。数少ない左回り(東京、中京、新潟)の経験の差も影響するのか、3-4歳の若いグループは必ずしも有利ではない。

 3着以内に好走した15頭の中には、上位5番人気に入らない伏兵が約半数の7頭いるが、それは「5、6、6、5、4、7、6」歳馬。穴馬は5歳以上馬に集中する。

 今年は人気の6歳馬ゴールドドリーム(父ゴールドアリュール)と、6歳ロンドンタウン(父カネヒキリ)のほかに「遅れて台頭した伏兵の6歳馬」が3頭いる。ゴールドドリームの好勝負は当然だが、前回ひとまくりで快勝したヴェンジェンス(父カジノドライヴ)は今年7戦3勝。

 1700〜1800m【2-2-0-0】であり、みやこSの快勝は決してフロックではない。ハイペースを並ぶ間もなく一気にまくって1分49秒1。追い込み一手だけに外枠は不利ではない。トウショウボーイの一族である。

 ワンダーリーデル(父スタチューオブリバティ)も、マイルを1分34秒6で差し切った前回の末脚が再現できるなら、十分好勝負。初勝利が中京ダートだった。

 中で主軸にしたいサトノティターン(父シンボリクリスエス)は、繊細な体質で5歳末までわずか7戦(3勝)のみ。ところが、6歳の今年は5戦3勝。大器とされた超大型馬がやっと本物になり、いよいよGI挑戦となった。前走、独走したブラジルC(2100m)はインからスルスル進出し2分08秒0での圧勝。

 仮に平均ラップを1800mに換算するなら1分49秒7に相当する好タイムであり、決して不器用でも、スピード不足でもない。【5-1-0-1】の左回りダートで能力全開がある。

 全兄マチカネニホンバレはJRAのダート16戦7勝。札幌1700mのマリーンSを当時のレコードで勝っている。スピード能力十分だった。

 今春で種牡馬を引退した父シンボリクリスエス(20歳)は、エピファネイア(菊花賞、ジャパンC)、ストロングリターン(安田記念)などを送っているが、同時に、フェブラリーSのサクセスブロッケン、昨年のチャンピオンズCの勝ち馬ルヴァンスレーヴ、3着サンライズソアなど、圧倒的なダート巧者も輩出した。

 サトノティターンは、ダートでこその血統。祖母アリスベル(米)の全兄には、87年の米2冠馬で、88年のエクリプス賞年度代表馬に輝いた26戦11勝(GI9勝)のアリシーバ(父アリダー)がいる。

 アリシーバはあまり強い影響力を残した種牡馬ではないが、2015年の有馬記念を8番人気で抜け出したゴールドアクターの母の父キョウワアリシバが、アリシーバの産駒になる。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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