どの陣営、どの馬にエールを送るか

　楽しみは、もっと先にもある。そう確信できる一戦であってほしい。どれもが願うことは同じでも、ここで勝利するのは一頭だけ。来春を見すえ、いい出会いをと願うばかりだ。阪神ジュベナイルFを勝ち、翌年クラシック馬になったブエナビスタ、アパパネ、そしてソウルスターリングに続く馬がいることを願うのはもちろんだが、まだ成長途上の若駒たち、結果をはなれてその先に見込みがあるかを見極めるレースでもある。どの陣営に寄り添うか。前哨戦を終え、2歳チャンピオン戦への準備を整えたそれぞれの思いに少し。

　GIII格付けを得た14年以降、毎年馬券圏内に絡んでいるアルテミスS組からは、1着馬リアアメリアが有力。ゆっくりゲートを出て8馬身差をつけて勝った新馬戦から4ヶ月以上の間があってプラス20キロで出走、折り合い重視で後方に待機、外を回って33秒0の決め手で勝ってきたが、「GIの流れでどうなるか楽しみ」と余裕がある。

　昨年はダノンファンタジーで阪神ジュベナイルFを勝っている中内田調教師だが、今年はもう一頭クラヴァシュドールが出る。前走2着でも牝馬には先着を許していない。「折り合いがつき、競馬が上手なのが強味で、それを生かせれば」というのが陣営の思い。

　これと父馬がハーツクライと同じのウーマンズハート。この新潟チャンピオンは3か月半ぶり、「カイ喰いは落ちず、どれだけ本番で走れるか。晩成型でまだまだ成長していける」と語る西浦調教師は、来年が最後のクラシック挑戦で、2戦とも32秒台の決め手で勝ち、期待は大。テイエムオーシャン、カワカミプリンセスの実績がここで生きるか。

　阪神のマイルで結果が出ているダイワメジャーの産駒からは、2戦2勝のレシステンシアが目立っている。「スピードだけでなくパワーもあるから、マイルでも大丈夫。気性がどっしりしていて完成度が高い馬」というのが関係者の評価だ。

　2歳リーディングで2位につけているキズナの初年度産駒のマルターズディオサは、サフラン賞で大外を回って最速の上がりでねじ伏せ、スケールの大きさが目についた。「兄アルタイルより、父が替わって決め手が出た」と語った手塚調教師は、もう一頭オータムレッドが出る。前走5着で3戦2勝だが「使った上積がかなりある。この上昇度にかけてみたい」と、新種牡馬産駒への期待を述べていた。

　その他、「牝馬にしてはカイ喰いがいい」というヤマカツマーメイド、「末脚がいいので直線の長いコースが魅力」というクリスティなど、この先を含めて楽しみにしているものばかりだ。どの馬にエールを送るか。

「お前のうちにこそ、俺のもとめるものは住んでいるはずだ」という武者小路実篤のことばで結んでおく。