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私が憧れている“吉田さん”のお話

  • 2019年12月07日(土) 12時00分

なりたくてもなれない、唯一無二の存在


 今週は“吉田さん”にまつわるネタを2つ。まず1つめは、園田・姫路競馬のレジェンド、吉田勝彦アナウンサーの実況引退のニュースです。

 もうみなさんもご存知とは思いますが、吉田さんは来年1月9日(木)をもってレース実況を引退されるとのこと。今月3日に「そのだ・ひめじけいば」のホームページで発表されました。

 その夜、ご当人と電話でお話しさせていただきましたが、やはりとても寂しそうでした。なにしろ(ホームページに寄せられたコメントにもあるとおり)、64年も続けてこられたお仕事にピリオドを打つわけですからね。

 吉田さんからは、このタイミングで引退を決断された理由も伺いました。いくつかの事情が重なったからだそうですが、私がそれらを明らかにすることはできません。ただ、単に年齢の問題だけではない、とだけは書かせていただきます。

 われわれが「まだまだ続けてほしい」と思っている以上に、ご本人は「まだまだ続けたい」と思っていらっしゃるご様子。それは、吉田さんのワガママではなく、競馬そのものと競馬を実況することの奥深さを誰よりもご存知だから、だと感じています。

 引退の報に接して、いろいろ複雑な思いになり、1月9日に園田競馬場に行くべきかどうか悩んだのですが、やっぱり行くことに決めました。場内実況アナウンサーの引退セレモニーというのは、そうそう見られるものではないはず。それを目の当たりにしないわけにはいきませんからね。

 そして、もう1つの“吉田さん”ネタは、吉田類さんとご一緒させていただいた、という話です。

 吉田類さんと言えば、知る人ぞ知る(というより、知らない人のほうが少ない)名番組「酒場放浪記」に出演されているあの方。6日(金)、大井競馬場で行われた高知県+高知競馬PRトークショーで同じステージに立たせていただきました。

 吉田勝彦アナウンサーは同業者として憧れている方ですが、吉田類さんは(弱いながらも)お酒が好きな私にとって“憧れの人”。その方とご一緒できるなんて、身に余る光栄でした。

 で、なんと吉田さんは意外に馬好きだったのです。「競馬はよくわかりませんが、馬はキレイでいいですねぇ。ばんえい競馬の大きな馬も好きで応援しているんですよ」とのこと。まさか吉田さんから“ばんえい”という言葉を聞けるとは!高知県+高知競馬のイベントでしたが、もっと“ばんえい”の話をしたくなっちゃいました。

 2人の吉田さんには共通点があると思います。それはどちらも、“そうなりたくてもなれない人”だということ。これぞまさに“唯一無二の存在”です。お近づきになれただけで、改めて幸せを感じている私であります。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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