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【阪神JF】人気上位の3頭はこれからさらに強くなる

  • 2019年12月07日(土) 18時00分

デキ文句なしと思える自在型のあの馬に注目


 ここを1分34秒台前半で勝ち負けするとき、桜花賞が見えるだけでなく、のちの牝馬GI戦線の主役も約束される阪神のマイル戦。今年の注目馬のレベルも高い。

 1番人気必至のリアアメリア(父ディープインパクト)には、なだめつつ2戦2勝のスケールだけでなく、快走を後押しする材料がある。管理する中内田厩舎は14年開業で、昨年の勝ち馬ダノンファンタジーなど2歳重賞通算【8-1-0-5】。ホントか、と驚くほどの勝率を誇る。

 生産牧場のノーザンFは、生産馬が春に大阪杯からオークスまでGI7連勝のあと、秋も秋華賞から先週のチャンピオンズCまで7連勝中。ここまでの平地GI20競走のうち16レースを制している。まして、この阪神JFは生産馬が過去12年間に10勝(目下4連勝中)でもある。

 今回の出走馬3頭は珍しく少ないが、「リアアメリア、あるいはレシステンシア、オータムレッド」のどれかが勝つと生産牧場年間GI勝利最多記録「17勝」が達成される。

 コンビの川田騎手は、先週のチャンピオンズCを制し今年のJRA重賞トップの勝ち鞍「15勝」。2戦2勝は少頭数なので、もまれない外枠は少々かかってもかえって有利…など。

 対するウーマンズハート(父ハーツクライ)、クラヴァシュドール(父ハーツクライ)にも強気になれる要素はある。父ハーツクライのこの2歳世代は素晴らしく、この2頭のほかに牡馬マイラプソディが3戦3勝、サリオス、ワーケアが2戦2勝。シンプルゲームが3戦2勝。すでに1勝クラスを突破した馬が5頭もいる。

 総じて初期の2歳戦向きではないので、全国種牡馬2歳ランキング上位10頭の中で、出走頭数、出走回数はもっとも少ないのに、重賞勝ち馬はディープインパクトと並ぶ最多の3頭もいる。昨年は11位だったのに今年は目下ランキング2位と少差の3位につけている。

 クラヴァシュドールの母の父は「GIANT'S CAUSEWAYジャイアンツコーズウェイ(その父STORM CAT)」。ウーマンズハートの母の父は「GIANT'S CAUSEWAY直仔のSHAMARDALシャマーダル」。STORM CAT系種牡馬は、こと日本では評価が高くなかったが、母の父として大成功するなど、代を経て、時とともにその真価が浸透してきた。

 GIANT'S CAUSEWAY(09、10、12年のUSA種牡馬ランキング1位)直仔の大物、5歳ブリックスアンドモルタルBRICKS AND MORTAR【11-0-2-0】が来春から日本で種牡馬入りすることになる。こういう種牡馬勢力図の流れにもっとも早く反応するのが、牝馬路線であることが多い。

 ウーマンズハートは、間をあけて身体つきが変わってきた。評価が難しいこともある新潟2歳Sの勝ち馬だが、この馬はこれからさらに成長する。

 中内田厩舎のクラヴァシュドールは、前回負けたとはいえ、相手は大器とされる同じハーツクライの男馬サリオス。2着だったこの馬の1分32秒9も、ダノンプレミアム(中内田厩舎)の1分33秒0のコースレコードを上回った。

 3強に続くのは、ファンタジーSを前出ダノンファンタジーの勝ち時計1分21秒8を1秒1も上回る破格の内容で勝ってみせたレシステンシア(父ダイワメジャー)。ノーザンFの生産馬。2歳重賞でダイワメジャー産駒を軽視するのは賢明ではない。

 とくに人気上位の3頭は、みんなまだ2戦だけ。まだこれからさらに強くなる。評価の修正は効くので、デキ文句なしと思える自在型のクラヴァシュドールから入りたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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