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2019年地方馬の活躍は?

  • 2019年12月10日(火) 18時00分

NARグランプリのタイトルの行方は…


 今年も残すところあと3週間。NARグランプリの行方も気になるところで、地方馬の活躍について振り返ってみたい。

 まずはJBCスプリントをブルドッグボスが制したことが最大のトピックスと言っていいだろう。地方馬としてJBC史上3頭目の勝ち馬となった。管理する小久保智調教師は、今年も南関東ではダントツリーディングで、収得賞金では2位にダブルスコア以上をつけている。地元浦和開催となったJBCには並々ならぬ意気込みで、JBC3レースに管理馬を計8頭出走させていた。JBCスプリントで注目されたのはノブワイルドのほうだったが、実はブルドッグボスにも相当期待していたようで、諸事情により選択肢が限られることから夏は一時的に北海道・田中淳司厩舎に移籍させ、地元開催のJBCに備えての念願のタイトル奪取となった。

 そのほか、今年ここまで地方馬によるダートグレード勝ちは以下のとおり。

 4/10 東京スプリントJpnIII キタサンミカヅキ(船橋)
 4/17 マリーンCJpnIII ラーゴブルー(川崎)
 9/12 オーバルスプリントJpnIII ノブワイルド(浦和)
 10/10 エーデルワイス賞JpnIII コーラルツッキー(北海道)

 ご覧のとおり、JBCスプリントのブルドッグボス以外、地方馬のグレード勝ちはここまでJpnIIIのみ。

 中央と交流のダート重賞に統一のグレードが設定されたのは1997年4月のこと。以降、地方馬がGII/JpnII以上を勝てなかった年は、実はこれまで一度もない。近年、ダートグレード戦線では中央勢が圧倒的な強さを見せているが、毎年地方馬にも互角に戦えるようなレベルの馬がいることは評価されていい。

 さて、2019年の年度代表馬ということになると、このあとGI/JpnIは、全日本2歳優駿、東京大賞典を残しているので、そこでもし地方馬が勝てばその馬との比較になるが、勝てなければブルドッグボスということになるのだろう。JBCのほかに勝ち星は門別での特別戦の1勝のみだが、JpnIIの東京盃2着、JpnIIIの黒船賞3着という実績も評価される。併せて、4歳以上最優秀牡馬、最優秀短距離馬のタイトルも獲得することになりそうだ。

 4歳以上牝馬では、ラーゴブルーが唯一のダートグレード勝ち馬だが、それ以外で結果を残せていないことが議論されるかもしれない。ただJBCレディスクラシックで地方馬最先着の4着というのは評価されるだろう。またグランダム・ジャパン古馬シーズン女王となったクレイジーアクセルが、明日(12月11日)のクイーン賞JpnIIIの結果次第では候補として浮上してくるかもしれない。

 3歳馬については11月19日付の本コラムで取り上げたとおり。牡馬の候補となりそうなリンゾウチャネルは、北海道から船橋に移籍し、東京大賞典の出走選定馬となっているので、出走すれば当然注目となる。

 2歳牡馬は、北海道2歳優駿JpnIIIも兵庫ジュニアグランプリJpnIIも地方馬が勝てず、まったくの混戦。ある程度の重賞実績馬が全日本2歳優駿JpnIで上位に食い込めば有力な候補となるかもしれない。

 2歳牝馬では、JpnIIIのエーデルワイス賞をコーラルツッキーが制したが、このあと出走を予定している大晦日の東京2歳優駿牝馬の結果次第ということになりそう。

 難しいのは最優秀ターフ馬。今年ここまで、地方馬よる中央での勝利はない。2着も、クローバー賞のヨハネスボーイ、札幌日経オープンのハッピーグリンがいるだけ。すでに中央に移籍してしまったが、ハッピーグリンは4歳の今年も10月までは地方(北海道)にとどまったまま中央への挑戦を続け、さらに香港にも遠征したことは評価されるべきだろう。ただひとつも勝ち星がないなかで“最優秀”は難しいかもしれない。

 ばんえいは、最大のタイトルばんえい記念を制したセンゴクエースが、その後北斗賞も制しただけに最有力。古馬重賞3勝のオレノココロが比較対象になるかもしれない。また、12月29日のばんえいダービーをメムロボブサップが勝てば、イレネー記念に加えて3歳三冠達成となるだけに有力な候補となりそう。

 NARグランプリのタイトルの行方を気にしながら、今年残り3週間の競馬を見るのもおもしろいかもしれない。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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