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【有馬記念】スローなら波乱、持続戦なら力どおり ダンジグを引く馬が毎年連対中

  • 2019年12月15日(日) 18時00分
過去5年の有馬記念において、上がり3Fとも11秒台だったのが14年(5人気-9人気-1人気で決着)。2Fが11秒台だったのが17年(1人気-8人気-3人気)と15年(8人気-5人気-4人気)。1Fだけ11秒台だったのが18年(3人気-1人気-9人気)と16年(1人気-2人気-3人気)。上がりのケイバになると波乱の目、流れて持続戦になると力どおりという傾向だ。いっぽう牝馬が馬券に絡んだのは17年と14年だから、スローのほうが好走しやすいという見方もできる。ブラストワンピース(父ハービンジャー)、クイーンズリング(母父アナバー)、サトノダイヤモンド(母父オーペン)、ゴールドアクター(父父グラスワンダー)、ジェンティルドンナ(母父ベルトリーニ)とダンジグの血を引く馬が毎年連対中。(解説:望田潤)

アーモンドアイ
 ユナカイトの半姉で、母フサイチパンドラはエリザベス女王杯の勝ち馬。3代母セックスアピールはエルグランセニュールやトライマイベストを産んだ名繁殖で、本馬はそのトライマイベストの3/4同血クロス5×2を持ち、父のしなやかさと母のパワーを足して割ったような体質が絶妙だ。圧巻の秋天を見てのとおり東京2000はベストパフォーマンスを発揮できる舞台だが、中山内2500となると安田記念とはまた逆のバイアスで、一番強いケイバをしたが勝てないという可能性もあるだろう。
距離○ スピード◎ 底力◎ コース○

アエロリット
 ミッキーアイルやラッキーライラックの近親で、父がクロフネで牝系がマイジュリエットというのはテイエムジンソクと同じ。この牝系特有の力強く一本気なスピードが武器で、緩みないペースで先行ゴリ押しして味があるタイプといえる。どちらかといえば大箱向きで平坦より坂コースがベター。距離は1800がベストだろう。中山内2500となるとペース配分が難しいが、直線部分で離すような逃げを打てれば見せ場以上も。
距離○ スピード◎ 底力○ コース○

アルアイン
 ダノンマジェスティの全兄で、母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7F)勝ち馬。母が北米血統のスプリンターだから、リアルインパクトを中距離型にしたような馬で機動力とパワーが自慢。大箱で一線級相手だと斬れ負けするので、実績どおり阪神中山の内回り2000がベストコースだろう。この距離だとスローをジェンティルドンナのように立ち回りたいところだが…。
距離○ スピード○ 底力○ コース◎

ヴェロックス
 母セルキスは独オークストライアル(独G2・芝2000m)勝ち。母父モンズンはドイツの名種牡馬で、このアウトサイダー血脈を「1/4異系」とし、残りの3/4でノーザンダンサーをクロスする好形だ。長手の体型のジャスタウェイ牡駒で、持続力に富む中距離馬。わりと後駆で走るので直線の急坂はプラス。ひと夏越しての成長もうかがえる。とはいえ、ハーツクライ〜ジャスタウェイの父系だから中山より東京向きとは思う。
距離○ スピード○ 底力◎ コース○

エタリオウ
 母ホットチャチャはQエリザベス二世チャレンジCS(米G1・芝9F)勝ち。その父カクタスリッジはストームキャット系のマイラー。母系にアリシドンやハイハットやシャーペンアップが入り、ステイゴールド産駒として及第点の配合になっている。脚長でストライドで走るので、どちらかといえば大箱ベターか。不本意なケイバがつづく現状だが、母系にブロードブラッシュが入るので末脚特化で決め打ったほうが結果はいいかも。
距離◎ スピード○ 底力○ コース○

キセキ
 母母ロンドンブリッジは桜花賞2着で、ダイワエルシエーロやグレーターロンドンを産み繁殖としても優秀。体型は父似だが強靭な後駆は母方のダンジグ譲りだ。川田騎手とのコンビ復活で先行脚質に転じ、

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競馬ライター。血統評論家。育成牧場従業員を経て競馬通信社編集部に在籍、そこで笠雄二郎著「日本サラブレッド配合史」の影響を強く受ける。サイト「血統屋」「競馬道ONLINE」月刊誌「サラブレ」「ECLIPSE」などで血統に関するコラムや予想を執筆中。共著「パーフェクト種牡馬辞典2018-2019」も好評発売中で、馬主・生産者の配合アドバイザーも務める。ブログ「血は水よりも濃し」http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

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