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マルターズディオサと血統構成が似ているスズカキング

  • 2019年12月18日(水) 12時00分
●アイオーン(牡 栗東・鮫島一歩 父ロードカナロア、母エターナルビート)

 フォーエバーモア(14年クイーンC-GIII/父ネオユニヴァース)、マルカジーク(05年シンザン記念-GIII・3着、共同通信杯-GIII・3着/父サンデーサイレンス)の半弟。母エターナルビートはクリスタルC(GIII・芝1200m)で2着となった芝向きの快速馬だった。

 母の父Pentelicusは名種牡馬Unbridledの4分の3同血で、Unbridledから重厚なLe Fabuleuxを抜いた配合構成なので、早熟なスピードを伝えている。In Realityのクロスを持つロードカナロア産駒は、アンフィトリテやメジェールスーをはじめスピードタイプが多く、距離の上限は1600m。その意味では正統派のロードカナロア産駒、といった趣がある。

 本馬は母が21歳時の産駒なのでそのあたりが懸念材料として挙げられるが、体質などに問題がなければ芝向きのスプリンターとして期待ができそうだ。

●アドマイヤシリウス(牝 栗東・大久保龍志 父キングカメハメハ、母アドマイヤマリリン)

 母アドマイヤマリリンは現役時代4戦未勝利だったが、兄弟にアドマイヤフジ(06年日経新春杯-GIIなど重賞3勝)、アドマイヤホープ(03年全日本2歳優駿-JpnI、03年北海道2歳優駿-JpnIII)、アドマイヤコスモス(11年福島記念-GIII)と3頭の重賞勝ち馬がいる良血馬。

 2代母アドマイヤラピスは中長距離を得意とした外国産馬で、芝3000mの嵐山S(OP)を勝ち、芝3600mのステイヤーズS(GII)で2着となった。「キングカメハメハ×アグネスタキオン」の組み合わせは、芝19勝(連対率14.2%)、ダート35勝(連対率20.4%)。アットザシーサイド(16年桜花賞-GI・3着)のような芝馬もいるが、ダノンフェイス(19年武蔵野S-GIII・3着)のようなダート馬も少なくなく、全体的には後者が優勢、という傾向が出ている。本馬は芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。

●スズカキング(牡 栗東・橋田満 父キズナ、母リアリサトリス)

 リアリスト(現3勝/父ゼンノロブロイ)、オメガ(1勝/父ダイワメジャー)の半弟。母リアリサトリスはフランスで走り、芝1300〜1600mのリステッドレースで2〜3着の成績がある。Number≒Nureyev 2×3という4分の3同血クロスが配合的なセールスポイント。3代母Rive Du Sudは名繁殖牝馬ローザネイの4分の3姉でもある。したがって繁殖牝馬としての楽しみは大きい。

 母方に入るMr.Prospector、Nureyev、Blushing Groomはいずれも父キズナと相性が良く、どのパターンもキズナ産駒全体よりも好成績を挙げている。この3つの血を併せ持つ同産駒には阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)で2着に食い込んだマルターズディオサがいる。芝のマイル前後で確実に走ってきそうだ。

●フィニステール(牡 栗東・中内田充正 父キングカメハメハ、母リトルダーリン)

 2代母エリモエクセルはオークス(GI)、中京記念(GI)など4つの重賞を制した名牝。繁殖牝馬としては10頭の産駒をJRAでデビューさせ、ユニバーサル(父ブライアンズタイム)が3勝、ダノンエクスプレス(父アグネスタキオン)が4勝、本馬の母であるリトルダーリン(父ディープインパクト)が3勝を挙げた。ただ、重賞クラスの大物は出ていない。本馬は母の3番仔。「キングカメハメハ×ディープインパクト」の組み合わせは、ヴァナヘイム(16年京都2歳S-GIII・2着)、ランフォザローゼス(19年青葉賞-GII・2着)などが出ており、連対率31.5%、1走あたりの賞金額222万円。父の産駒全体の19.3%、225万円と比較すると、連対率で大きく上回っている。

 2代母エリモエクセルはEl Gran Senorの息子ロドリゴデトリアーノなので、本馬はトライマイベスト=El Gran Senor 4×4という全兄弟クロスを持っている。エリモエクセルの牝系から新たな活力を引き出す可能性を秘めた配合だ。全姉エコモマイは1戦未勝利で引退。初仔で馬体重が394kgしかなく、デビューも3歳6月と大幅に遅れた。本馬は牡馬なので体格や体質面の改善が期待できる。芝向きの中距離タイプ。

●ベルリオーズ(牝 栗東・藤岡健一 父エピファネイア、母ディーバ)

 阪神C(GII)2連覇など4つの重賞を勝ったサンカルロ(父シンボリクリスエス)、現在3勝クラスに在籍するターゲリート(父シンボリクリスエス)の4分の3妹。母ディーバは現役時代に短距離で3勝を挙げた。2代母ミスセクレトは伊2歳牝馬チャンピオンで、3歳時には伊1000ギニー(G2)を勝っている。父エピファネイアは2019年の新種牡馬ランキングでキズナに次いで現在第2位。すべての種牡馬を含めた2歳種牡馬ランキングでも第5位に食い込んでいる。

 重賞では京王杯2歳S(GII)3着のヴァルナ、京都2歳S(GIII)3着のロールオブサンダーが最高成績だが、5回東京の新馬戦(芝2000m)を好時計で逃げ切ったスカイグルーヴをはじめ素質馬が目に付くので、近いうちに重賞も勝てるはずだ。芝2000mで連対率37.2%と素晴らしい成績を収めているので、本馬はサンカルロやターゲリートとは違って1800mあたりまではこなせるのではないか。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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