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砂の名牝サンビスタの初仔サンジョアン

  • 2019年12月25日(水) 12時00分
●サンジョアン(牝 栗東・角居勝彦 父ルーラーシップ、母サンビスタ)

 母サンビスタはチャンピオンズC(GI)、JBCレディスクラシック(JpnI)など6つのダート重賞を制した名牝。

 2代母ホワイトカーニバルはフェアリーS(GIII・芝1200m)の勝ち馬、3代母イエローブルームは報知杯4歳牝馬特別(GII・芝1400m)2着と、2代連続で芝重賞で実績を残しているが、それぞれの父がミシル、パークリージェントとダートテイストの強い種牡馬だったので、母の父スズカマンボの適性と相まって母サンビスタはダート向きに出た。

 本馬はその初仔。父ルーラーシップはメールドグラースやキセキなどの父で、芝の実績に優れているが、本馬は母が砂の名牝だったので、アディラート、アドマイヤビクター、ダンツキャッスルのようにダート向きに出る可能性がある。距離は1600m以上が良さそうだ。

●スペードエース(牡 栗東・友道康夫 父ワールドエース、母ハルーワソング)

 4分の3兄にフレールジャック(11年ラジオNIKKEI賞-GIII/父ディープインパクト)、マーティンボロ(14年中日新聞杯-GIII、14年新潟記念-GIII/父ディープインパクト)がいるほか、半姉ハルーワスウィート(3勝クラス)は名繁殖牝馬となり、ヴィルシーナ(13、14年ヴィクトリアマイル-GI・2回)、シュヴァルグラン(17年ジャパンC-GI)、ヴィブロス(17年ドバイターフ-G1、16年秋華賞-GI)の母となった。

 2代母Morn of Songは名種牡馬Rahyの全妹。本馬の父ワールドエースは現2歳の初年度産駒からオータムレッド(19年アルテミスS-GIII・5着)など8頭の勝ち馬を出し、上々のスタートを切っている。

 本馬を産んだとき母は21歳と高齢だったが、フレールジャックやマーティンボロの4分の3弟でもあり、期待の持てる良血馬だ。芝向きのマイラー。

●タガノグランサム(牡 栗東・鮫島一歩 父キングカメハメハ、母タガノグラマラス)

 ファルコンS(GIII)を勝ったタガノグランパ(父キングカメハメハ)の全弟。母タガノグラマラスはNijinskyとBlushing Groomのニックスを抱えた好配合馬で、現役時代に芝1500〜1800mで4勝を挙げた。

「キングカメハメハ×スペシャルウィーク」は、リオンディーズ(15年朝日杯フューチュリティS-GI)、グローブシアター(16年ホープフルS-GII・3着)、クラリティシチー(15年ダービー卿CT-GIII・2着)などコンスタントに活躍馬を出している。

 とくに本馬はラストタイクーン≒カフェドフランス3×3があるので見どころがある。全兄と同様の活躍を期待したい。

●ナリタサーガ(牡 栗東・荒川義之 父エピファネイア、母オースミハルカ)

 兵庫チャンピオンシップ(JpnII)、ダイオライト記念(JpnII)を勝ったオースミイチバン(父アグネスタキオン)、ダートで3勝クラスまで出世したオースミラナキラ(父ハーツクライ)の半弟。

 母オースミハルカはクイーンS(GIII)[2回]、府中牝馬S(GIII)を勝ったほか、エリザベス女王杯(GI)でも2年連続で2着となった名牝。父エピファネイアは現2歳世代が初年度産駒で、ファーストシーズンサイアーランキングでキズナに次いで現在2位、2歳種牡馬ランキングで5位と優秀な成績を収めている。

 現時点の成績はダートよりも芝のほうが圧倒的に優れているが、本馬はSadler's Wells 4×4という重厚なクロスを持つので、ダート向きに出る可能性も考えられる。距離は1600m以上が合うはず。

●メイショウポルポ(牡 栗東・松下武士 父カジノドライヴ、母レッドセシリア)

 母レッドセシリアは阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)で3着と健闘した。

 2代母サセッティの半姉Winonaは愛オークス(G1・芝12f)を7馬身差で圧勝したほか、4代母My Bupersの一族からはハーツクライが出るなど、優れた活力を脈々と受け継ぐ名牝系に属している。

 母の父はハーツクライなので、母レッドセシリアは同牝系同士の配合となり、My Bupers 4×3という大胆な牝馬クロスが施されている。My Bupersは米最優秀スプリンターMy Juliet(米G1ヴォスバーグHなど36戦24勝)を産んだ名繁殖牝馬。

 この配合構成はむしろ繁殖牝馬として魅力的で、今後が楽しみな存在だ。本馬の父はカジノドライヴ。アメリカで勢いのあるA.P.Indy系に属し、現役時代はJRAに所属したままアメリカ遠征し、重賞(08年ピーターパンS-GII)を勝つという快挙を成し遂げた。

 代表産駒はみやこS(GIII)を勝ったヴェンジェンス。「カジノドライヴ×ハーツクライ」の組み合わせは過去1頭出走して勝ち上がっているので悪くない。ダート向きのマイラー。

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本年も『新着POG馬紹介』をご愛読いただき、誠にありがとうございました。

2020年1月1日(水)更新分は、休載とさせていただきます。

読者の皆様には大変ご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。

なお、次回の掲載は2020年1月8日(水)を予定しております。今後とも『新着POG馬紹介』を宜しくお願い申し上げます。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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