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ノーザンファーム独走の一年

  • 2019年12月26日(木) 18時00分

GI勝利数だけでなく、獲得賞金でも他を圧倒


 先週の有馬記念は、圧倒的一番人気に支持されたアーモンドアイの謎の失速により、馬券的にはやや波乱の結果となったが、生産者別の着順としては、予想通りノーザンファームが1着から4着までを占め、日高産馬はキセキが辛うじて掲示板を確保してくれたのが、せめてもの救いであった。

 ただただ、ノーザンファームのオープンクラスにおける層の厚さだけが際立ったレースではあった。これでノーザンファームは、今年度の重賞勝ち鞍数を63に伸ばし、昨年の49勝を大きく上回っている。土曜日のホープフルSが残っているので、GI競走が現在の19勝に終わるか、それとも20勝の大台に乗せることができるか、ひじょうに気になるところだ。

 障害を含め26競走あるGIのうちの19勝である。ここまで来ると、他の生産者にとってみれば、あまりにもノーザンファームの存在が巨大過ぎて、追いつくどころか背中すら見えない。

 10年前の2009年には、中央競馬における生産者ランキング1位が、社台ファームであった。669頭出走、256頭が355勝し、獲得賞金が76億319万円。ノーザンファームは2位で、641頭が出走、222頭が301勝、73億4152万円。つまりこの両巨大牧場の成績はほとんど拮抗していたのであった。

生産地便り

独走態勢にあるノーザンファーム(写真はイメージです)


 ところが、その後、ノーザンファームの独走態勢が年々顕著になり、ついに今年はGI競走19勝を含む重賞63勝の金字塔を打ち立てたのである。今年度の現時点でのノーザンファーム生産馬は、中央で1275頭が出走し、458頭が611勝。167億9048万円の賞金を獲得している。出走頭数はこの10年でちょうど二倍になり、勝利頭数、勝利回数も倍増した。のみならず、獲得賞金は倍以上の激増で、出走頭数1頭当たりの獲得賞金指数であるアーニングインデックスを見ると、今年は2.14と驚異的な数値になっている。

 アーニングインデックスは、1.00がちょうど平均値だから、2.14というのは、ノーザンファーム生産馬が、他の牧場の生産馬と比較して、1頭当たり2.14倍の賞金を獲得している、という計算になる。出走頭数1275頭にも驚かされるが、賞金べースではざっと2728頭分の賞金を稼ぎ出している計算だ。

 しかし、ノーザンファームの生産頭数は、先頃届いた「全国馬名簿」(JBBA、日本軽種馬協会発行)によれば、今年度で566頭。もちろん、我が国では最大規模の頭数ではあるものの、二位の社台ファーム365頭(北海道・胆振と関東の両方に分散して記載されている)と比べても、それほど顕著な差はない。

 ノーザンファームの生産頭数は、10年前の2009年には、353頭だったので、この10年間で200頭ほど増えたことになるが、それでも二倍までは行かず、1.6倍にとどまる。サラブレッドを生産するのは、繁殖牝馬とともにより広い土地とそれに伴う施設、さらに人材が必要だ。いかにノーザンファームといえども、工業製品を増産するようには生産頭数を増やせないのである。

 とはいうものの、このままでは来年以降、さらにノーザンファームの独占体制が強固なものになりそうな気配だ。いよいよ来年は東京オリンピックが開催される。生産地(日高)では、これまでもっぱら「景気が良いのはオリンピックまでだろう」との見方が支配的であった。

 来年は果たしてどんな年になるのか。ノーザン軍団の独走に待ったをかけるような新星が出現することを願っている。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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