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【祝!調教師合格】四位洋文×藤岡佑介(前編)『後輩たちのサポートに感謝 “一生頭が上がりません”』

  • 2020年01月01日(水) 18時01分
with 佑

▲調教師試験に合格した四位騎手を、後輩の佑介騎手が祝福! (C)netkeiba.com


12月5日に発表された新規調教師免許試験合格者。その中に名手“四位洋文”の名前がありました。2度目の受験で合格を果たした四位騎手。勉強漬けの日々をどのように過ごしていたのでしょうか。そして、残り2カ月の“騎手”としての最後の時間を、どんな気持ちで捉えているのでしょうか。名手から調教師へ――リアルな舞台裏と、四位厩舎の展望に迫ります。

(取材・構成=不破由妃子)


試験勉強は新たな知識との出会い「面白かったね」


佑介 四位さん、調教師試験合格おめでとうございます!

四位 ありがとう。とりあえずホッとしたよ。まぁ受かったら受かったでまたやることがたくさん出てくるから、本当に大変なのはこれからだけど。

──『with 佑』には、2017年の春にご出演いただいていますが、あの頃からすでに調教師試験に向けた準備を始められていたんですか?

四位 ボチボチ始めた頃だったかなぁ。でも、本気で切り替えたのは、去年一度不合格になってから。そこからはさすがにいろいろと変えていきましたね。

 藤沢(和雄)先生に「(調教師試験は)何回も受けるもんじゃないからな。しっかりやることやって、さっさと合格しろ」って言われていたから(苦笑)。

佑介 そうなんですね(笑)。勉強を始めたことは四位さんから聞いていましたけど、やっぱり本気で気持ちを切り替えるのは難しいことなんでしょうね。

四位 競馬に乗りながらっていうのがね。両立するって、言葉で言うほど簡単じゃない。だってさ、競馬は楽しいし面白いし、勝ったら勝ったでもっと乗りたくなるし。だから、迷いや葛藤があった時期もあった。

佑介 厩舎で助手として働きながら勉強するより時間はあるでしょうけど、ジョッキーはジョッキーで気持ちの面で難しさがありますよね。

四位 そうだね。確かに時間はあるけど、じゃあすぐに机に向かえるかといったら、なかなか…。そもそも“勉強をする”こと自体、何十年ぶりなわけだから(笑)。

佑介 しかも、覚えるべきことの量が半端ないですもんね。うちの父親は、調教師試験を受け始めたら、部屋から出てこなくなった。僕ら家族の生活もガラッと変わりましたから。

四位 わかるわ。俺も大きなテーブルの上にブワーッと資料を広げて、一日中その部屋に籠ってたよ。

佑介 いろんな先輩が調教師試験に挑んでいる姿を見てきましたけど、正直、四位さんはそんなにつらそうには見えなかったんですよね。

 合格した後も、勉強からの解放感というより、「四位は受かるだろ」っていう周りからの無言の圧力から解放されたのが一番なのかなって。

四位 いやいや佑介、俺だってつらかったよ。

with 佑

▲佑介騎手「無言の圧力から解放されたのが一番?」四位騎手「いやいや、俺だってつらかったよ」 (C)netkeiba.com


佑介 でも四位さん、自分のなかに新しい知識を入れていく作業自体、嫌いじゃないですよね? これまで僕が何かを聞くと、そのときはわからなくても、必ずあとで調べて教えてくれたじゃないですか。四位さんは昔からずっとそうです。わからないことをわからないままにしないというか。

四位 確かに、気になることは調べないと気が済まないタイプかも。勉強していて思ったのは、こんなに長いあいだ騎手をやっていても、知らないことがたくさんあるなぁっていうこと。もうね、その連続だった。それは面白かったね。

 まぁ何より合格をいただけたのは、周りの応援があったからこそ。後輩たちからのたくさんのサポートがありがたかった。

──後輩たちというと、先に調教師に転身した元ジョッキーのみなさんですか?

四位 そうです。「わからないことがあったら、いつでも電話してください」って、すごく気に掛けてくれてね。

 あと、二次試験は面接なんだけど、試験前には、武英智調教師、安田翔伍調教師、調教師を目指している元騎手で弟弟子の今村康成、元ジョッキーの野元昭嘉たちが面接官役を買って出てくれて、質疑応答の練習に付き合ってくれたり。もうね、彼らには一生、頭が上がりません。本当に感謝です。

「調教師になっても楽しそう」と思ってくれたら最高


佑介 合格する前と後で、競馬に向かう気持ちが変わったりしました?

四位 いや、何も変わらないよ。あと2カ月かぁ…とか、そういう感慨深さもあんまりないし。ただ、「あと少しで競馬には乗れなくなるんだから」ということで、依頼をくださる調教師さんもいたりしてね。そういうのは、本当にありがたいと思う。

 あ、ひとつ変わったことがあるわ。競馬を見るとき、前はジョッキーの乗り方とかに目が行ってたけど、最近はついつい馬具とかを目で追いかけてしまう(笑)。

佑介 調教師目線だ(笑)。

──四位さんの合格の一報を聞いたとき、もちろん「よかった!」と思ったのですが、同時に“四位洋文”がジョッキーでなくなることに、ちょっと物悲しさもあって…。後輩として、佑介さんもちょっとそんな気持ちがありませんでした?

佑介 いえ、僕は四位さんの気持ちが切り替わっていることをわかっていましたからね。それに、ジョッキーとしてここまでやり切って調教師に転身した人は久々じゃないですか? やりきって、自分のキャリアに納得して次に移れるなら、それが一番いいと僕は思っていますから。

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▲佑介騎手「騎手をやりきって次に移れる…それが一番いいと思っています」 (C)netkeiba.com


四位 記者会見でも話したけど、理想はね、後輩のジョッキーたちが調教師になった俺を見て、「自分も目指そう」と思うような調教師になること。

 自分の身をもって、調教師という仕事の魅力を伝えていきたいと思っているから。「四位さん、調教師になっても楽しそうだな」と思ってくれたら最高だよね。まぁまだ開業してないんだけど(笑)。

佑介 開業した途端、ゲッソリしちゃったりして…。

四位 「佑介、調教師は止めとけ…」みたいな(笑)。自分はまだ実感がないけど、ジョッキーから調教師になった人は、みんな「競馬に乗れないと思うと寂しくなった」って言うからね。鞭を置くその日まで、今は思う存分、ジョッキーを楽しむよ。

(文中敬称略、後編へつづく)
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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