独走続くサンデーサイレンス系の確固たる地位
今年2019年の全日本リーディングサイアーは、8年連続のディープインパクトで確定し、2位ハーツクライも獲得賞金額から確定したといえる。
また2歳リーディングも、1位ディープインパクトは確定。2位キズナ、3位ハーツクライは少差なのでホープフルSなどの結果を待たなければならないが、いずれにせよ、「サンデーサイレンス系」の独走状態は変わらない。
ディープインパクト、ハーツクライには強力な後継種牡馬が乏しいので、近未来はロードカナロア、ルーラーシップなどのいる「キングカメハメハ系」の時代になる可能性が高いのではないか、とされることがあったが、世代回転の速いキングカメハメハ系(ロードカナロアは、父キングカメハメハが6歳時、ルーラーシップは5歳時の交配の産駒)に対し、サンデーサイレンス系はちょっと異なる。
サンデーサイレンスは、その父HALOの16歳時の種付けによる産駒。サンデーサイレンスの最良の後継馬ディープインパクトは、父サンデーが15歳時、ハーツクライは父サンデーが14歳時の種付けで誕生した代表産駒であり、かなり世代交代の緩やかな父系。
02年、16歳で急死したサンデーサイレンスは、12世代の産駒から海外を含め44頭のGI勝ち馬を輩出した。うち半数近い19頭は、種牡馬生活終盤の4年間(13歳〜16歳時)の交配によるものだったという記録がある。
これは、NORTHERN DANCER(ノーザンダンサー)が、19歳時の交配で最大の後継馬SADLER'S WELLS(サドラーズウェルズ)を送り、サドラーズウェルズの最良の後継馬GALILEO(ガリレオ)は、父サドラーズが16歳時の交配で生まれた産駒であるのと同じような父系の回転速度であり、サンデーサイレンス系(とくにディープインパクト、ハーツクライ)の本当の世代交代はこれからではないか、という期待はある。
ハーツクライは、15歳時の交配で、超大物とされる現2歳の3戦3勝馬サリオス、さらに3戦3勝のマイラプソディ、2戦2勝のワーケア(ホープフルS出走)を輩出した。
急逝したディープインパクトも、彼の晩年14歳時の種付けで、牡馬の最良産駒となる可能性を秘めるコントレイル(ホープフルSにはほかにも2頭)を送ってきた。
昨年、サートゥルナーリア(父ロードカナロア)の出世の出発になったこのレースは、今年はサンデーサイレンス系(とくにディープインパクト、ハーツクライ)の、改めての攻勢を示す一戦になるのではないか、という見方が成立する。
コントレイル、ワーケア、そして産駒の少なくなったサンデー系ドリームジャーニーの12歳時の交配で誕生したヴェルトライゼンデにも注目したい。