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【ホープフルS】高速決着とは趣が異なるレースの可能性

  • 2019年12月27日(金) 18時00分

人気サイドでの決着にはならないかも…


 先週日曜の有馬記念当日は、雨が降る前から芝レースの時計がかかりだし、上がりも要していた。28日も最近よくある高速馬場・速い上がりとは趣の異なるレースになる可能性もあり、そうなると単純に人気サイドでの決着にはならないかもしれない。

 人気はコントレイルだろう。東スポ杯の内容はすばらしいものだった。レコードかつ5馬身差、上がりも2位に0.5秒差とケチのつけようがない。来年のダービーを勝ってもおかしくないと思うが、そういうタイプだけにホープフルSと皐月賞では「キレないタイプ」に負ける可能性もある。馬場状態を考えると皐月賞以上にここは油断ならないレースになる。

 ワーケアも強烈な決め脚で2連勝を飾ってきた馬で、ハーツクライ産駒ではあるがいま流行りのタイプというか、ディープインパクト産駒の一流馬と似たテイストはある。そう考えるといまの馬場は少し嫌なのだが、本来ハーツクライはそういう条件でこそディープインパクトとの差を詰めたり逆転したりできるもの。まだ隠し持っている引き出しがあることに期待したい。

 ヴェルトライゼンデは今回の有力馬の中では自分で競馬を作れるタイプなのが強み。ドリームジャーニー産駒でこの時期の中山は向くだろうし、母の父アカテナンゴは有馬記念で3着したワールドプレミアと同じだ。

 オーソリティは当時少頭数だったとはいえこのコースで勝っている経験を生かしたい。新馬戦と芙蓉S、まったく趣旨の異なる競馬で2連勝してきたあたりには適性の幅が感じられる。新馬戦ではブラックホールを下しているし、能力の裏づけはある。

 そのブラックホールは決め手で勝負することは難しそう。穴党が皐月賞で狙うようなタイプで、とにかく持続力勝負にならないとはじまらない。時計がかかることは歓迎だ。今回は有力馬たちがこれまで走ってきたレースより頭数も多いし、よどみのない流れになって消耗戦の度合いが増した場合に台頭してくる。

 ラインベックは東スポ杯で3着に負けてしまったが、やはり三冠馬どうしという配合のスケール感は魅力。中京のやや重→重で連勝してきた馬だし、馬場のニュアンスが違うぶんコントレイルとの差を縮めたいところだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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