波乱の主役はベテラン組
中山金杯は難解なはずのハンデ戦なのに、近年はずっと上位人気馬が勝ち続けている。勝ち馬は、過去13回のうち、10回までが3番人気以内。大きな理由は、13回のうち、11回まで前走より重い負担重量を課せられた馬が勝っていること。
今年の該当馬は「ギベオン、クレッシェンドラヴ、トリオンフ、ブラックスピネル」の4頭。この実績上位馬から主軸になる馬を選べば正解に近いかもしれない。正月の変則日程なので、地元の関東馬クレッシェンドラヴから入りたい。ステイゴールド産駒向きの馬場と思える。だが、今年はどうも全体の組み合わせがピンとこない。軽ハンデ組にも魅力的な伏兵が少ない。
一方、「京都金杯」は難解なハンデ戦らしく、背負い頭が9連敗中。加えて、年が変わり急にベテラン扱いになったグループが波乱の主役となり、最近10年、馬券に絡んだ30頭中半数の「14頭」を6歳以上馬が占める。中に2番人気馬が1頭だけいるが、大半が伏兵で、このベテラン組が波乱をもたらしている。
7歳ドーヴァー(父アドマイヤムーン)は、過去20年間に2頭しか勝っていない関東馬。当然、人気はないが、6歳秋から強くなった遅咲きタイプ。古馬になり初オープン昇級戦の19年ニューイヤーS(4走前)を1分32秒4で勝ち、自己最高の1分32秒1も3走前のこと。前回あたりから主な調教コースを坂路からウッドコースに変え、一段と鋭くなってきた。前走、父アドマイヤムーンも苦にしなかった渋馬場で快勝しているので重巧者とされるが、2-4走前の走破時計が示すように、決してスピード不足ではない。
父アドマイヤムーン産駒のここまでに制したJRA重賞は、18年のGI高松宮記念、GIスプリンターズSなどを勝ったファインニードルの5勝を中心に、18年の京都金杯を制したブラックムーンの勝利を含め、合計16勝。
2400mのジャパンCまで制した父と異なり、産駒の重賞勝ちはすべて1800m以下のスピードレースに集中する(15勝までが1600m以下)。ここはちょっと物足りないが、マイラーの多いダイワメジャー産駒にもそういうところがあり、マイル戦で快走を期待するならむしろ心強い片寄りだろう。
ドーヴァーには非常に珍しいSharpen Up(その父エタンは輸入種牡馬。Native Dancer直仔)のクロスがあり、スピード能力の裏付けとなっている。好走は秋後半の11月から1月までに集中するのも大きな特徴で、この3カ月間に限ると【6-1-2-0】。冬型らしく、今回も元気いっぱいで挑戦できる。