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【万葉S】史上最多タイ15頭出走の今年は新星誕生に期待

  • 2020年01月05日(日) 18時00分

ゆったり流れる長距離戦で一変の可能性あり


 近年、長距離戦は嫌われている。12月のステイヤーズSは条件馬を含めて11頭立てにとどまり、中身も平凡だった(レコードと4秒差以上)。

 ところが、今年の京都3000mの万葉Sは15頭立て。もちろん条件馬が含まれ、軽ハンデを頼りに試しに…という馬はいるが、半世紀も前の条件特別当時を含めても、万葉S史上最多タイ頭数となった。新星が誕生するかもしれない。

 ベテラン横山典弘騎手(51)が軽ハンデ51キロのエイシンクリック(父ルーラーシップ)に騎乗する。51キロでの騎乗などめったにないことで、昨秋7月以来になる。

 エイシンクリックの兄弟は、障害での活躍馬が多い。母エイシンサンサン(父キャロルハウスは凱旋門賞馬)譲りのスタミナがある。そこに横山典弘騎手の長距離戦の的確なペース判断が加わると怖い軽ハンデ馬だが、果敢に途中からレースを作ってステイヤーズS3着とはいえ、時計(レースレベル)は必ずしも高くない。候補ではあるが、中心馬ではないだろう。

 一方、アイスバブル(父ディープインパクト)の前3戦は人気のわりに平凡だが、4走前の目黒記念2500m2分28秒4の2着はすごい。破格のJRAレコードで勝ったルックトゥワイスとわずか0秒2差だった。

 超高速馬場だったとはいえ、同日の日本ダービーレコード2分22秒6を、2着アイスバブルの時計もハロン平均で上回っている。たまたまの快走では不可能な記録であり、好調とはいえなかったとはいえ、ブラストワンピース、アイスバブルの近親馬になるポポカテペトルに大きく先着している。

 そのポポカテペトル(父ディープインパクト)は母の半弟であり、キセキの勝った菊花賞3000m(不良馬場)の少差3着馬。同じく母の半弟マウントロブソン(父ディープインパクト)も菊花賞7着馬。クロフネの半妹ミスパスカリから発展するファミリーは、クロフネ産駒より距離をこなしている。アイスバブル(ミスパスカリの孫)は、ゆったり流れる長距離戦で一変の可能性がある。

 ジョッキーの巧拙というのではなく、アイスバブルは海外の騎手とのコンビで【3-2-1-1】。リズムが合う。今週から短期免許のS(シェーン).フォーリー騎手(愛)は欧州タイプなので、スピード勝負の短距離より長距離戦のほうが合っている。

 侮れないのは、勢いに乗るハーツクライ産駒で、明らかに長丁場向きのプリンスオブペスカと、この中間の意欲的な調教が光るレノヴァール。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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