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引退馬の活きる道…日本サラブレッドコミュニティクラブ代表、山本高之氏を直撃!

  • 2020年01月08日(水) 18時00分

サンクスホースプロジェクトの活動とは…?


 2020年…今年はオリンピック・パラリンピックイヤー。

 滝川クリステルアナウンサーの「おもてなし」が話題になり、オリンピックが東京開催に決まってからは、まだまだ先のことだと思っていましたが1月6日で開幕まで200日になってしまいました。

 新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

 今年は、十二支の始まりの年。近くの寺で除夜の鐘を突いて邪念を払い、住職のお説教を聞き、心新たに挑む気持ちがより強くなりました。

 僕にとっても勝負の年なので、初詣に行き八坂神社で祈祷していただきました。今年も皆様の御健勝とご活躍を念じたいと思います。

 競馬の始まりは金杯から…皆さんはお年玉をゲットされましたか?

 中山金杯は須貝厩舎のトリオンフ号、京都金杯は安達厩舎のサウンドキアラ号が優勝!トリオンフ号は、元中尾正厩舎の阿南厩務員が大事に育てているので気にかけていました。

職人

中山金杯をデムーロ騎手とのコンビで勝ったトリオンフ(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


職人

京都金杯を勝ったサウンドキアラ(c)netkeiba.com


 見事に勝ってくれてうれしいです。阿南さんおめでとうございます。先のレースが楽しみになってきましたね!

***

 さて話は変わって…。

 動物と人が一体になって参加する競技は競馬と馬術ぐらいだとよく言われますが、引退後に乗馬などになれなかった馬も多くいます。

 そんな馬たちがどうなっていくのか?みなさんご存知でしたか?

「サポーターになろう・オーナーになろう・ファンになろう」のメッセージを送り引退馬の活きる道を一緒に築こうと立ち上げたサンクスホースプロジェクトとTCC(日本サラブレッドコミュニティクラブ)の活動拠点となるホースシェルターが栗東に完成しました。

 代表の山本高之さんにお会いし色々聞かせていただきました。

常石 今日はよろしくお願いします。とっても立派な施設ですね。

職人

綺麗なTCCの厩舎


山本 ありがとうございます。みなさんの協力があって完成しました。

職人

施設内は落ち着いた雰囲気


常石 サンクスホースデイズのイベントに僕も参加させていただいていますが、改めて凄いプロジェクトだと感じます。色々な活動をされているかと思いますが、具体的にはどのような活動をされているのですか?

職人

サンクスホースプロジェクトの帽子


山本 日本で初めてのホースシェルターを作ったことですね。怪我した馬や引退した競走馬が次の行き先や活躍の場がなく、どこへ行ったのか分からない、行き場がないといった声が多くあり、何とか支援できないかと考えました。

 言わば一時の避難場所として次への居場所へ繋げていきます。また、その馬たちを活用して地域の子供たちへのホースセラピーの場を提供しています。

 スタッフに理学療法士・作業療法士もいるので放課後のデイサービスを行っています。他にも児童指導員・保育士・乗馬インストラクターなど専門の方と常時連携し、安全面を確保しながら子供たちの育成や発達に力を入れています。

常石 僕も落馬した1年後に理学療法士の妃呂巳さんにお世話になりました。

山本 そうでしたか。子供たちも保護者の方も安心していただけると思います。

常石 子供たちが動物にふれながら心を癒していく場所があるのは、いいですね。僕も落馬したときは、何もできないし、どうしたらいいかわからない。記憶もなかった時、馬のことだけは覚えていて毎日馬に会いに行って、エネルギーをもらいましたから。馬の魅力とパワーは凄いな、と改めて思います。

 障がい者乗馬の大会にも参加されているんですよね。

山本 馬にふれ合いながら少しずつ自信もついていくので、大会に参加することで楽しみの共有もできると思います。子どもたちの歓声が心に響きますね。また頑張ろうと思う瞬間です。

常石 牧場や乗馬クラブなどと契約をしてセカンドキャリアへ繋げているんですね。

山本 そうなんですが、競走馬を引退すると再調教が必要になってきます。乗馬・セラピーなど、能力に合わせて多様な活用ができるように調教をしますが、調教をしてくれる乗馬クラブや調教できる方が必要になってくるので悩みの種は人材不足ですね。協力してくださる方を探しています。

常石 大変ですね。乗馬の馬は、とっても利口でおとなしいですよね。競走馬は、蹴られる可能性が有るから絶対に馬の後ろに入ってはいけないといわれていましたが乗馬の馬は、ほぼ大丈夫ですから。

 競走馬をここまでに仕上げるのは、大変なことだと思います。

山本 そうですね。乗馬クラブの協力が必須ですね。それにお金もかかりますからね。ふるさと納税や個人の寄付金、チャリティグッズ・ボランティア支援。また、TCCは会員制ファンクラブがあり、参加していただくと馬に会ったり、引退馬のその後の状況なども知ることができます。

 一般会員、オーナー会員、シェルターサポーターなど様々募集しておりますので、興味のある方は是非問い合わせをしてください。

常石 支援してくださる方が増えるといいですね。こんな素敵な施設に来られるのは良いですね。遠くへ旅した、ほっこりした気分になれます。

山本 有名な建築家にデザインしていただいたんですよ。2階からは、近江富士も眺められ、周りに木々が多いので季節の移り変わりも楽しめます。

常石 聞いただけでも活動範囲は広いですね。新しい取り組みもマダマダあるそうですが楽しみにしています。僕に手伝いできることがあれば言ってくださいね。

山本 また手伝って下さい。よろしくお願いします。

常石 まだまだお聞きしたいことありますが、また次回にします。馬にテーピングされている話など興味があるので是非教えてください。

山本 いつでも来てください。

常石 ありがとうございました。

職人

TCCで活動されている皆様とパチリ


 馬と人が共存していくために大事な話をお聞きすることができ、日本初のホースシェルターが滋賀県の栗東にできたことを誇りに思います。

 みなさんも是非見学に、そしてご支援ください!

***

 シンザン記念は西園厩舎のタガノビューティー推し!シンザン記念は、アーモンドアイ・ジェンティルドンナ・タニノギムレットなど後のトップホースとなった馬が勝利している出世レースです。

 西園調教師が追い切りは順調に来ているので楽しみですと仰っていました。

 担当の桜井さんに普段のタガノビューティーのことを伺いました。

職人

厩舎で過ごすタガノビューティー


常石 手入れが大変そうですね。

桜井 シャワーが嫌いみたいで洗い場へ行ったら大変ですよ。シャワーの水を出すと跳ねあがってますね。

常石 元気がいいですね(笑)

桜井 入厩当初よりは、だいぶ落ち着いてきたんですよ。元気なのでしっかり走ってくれるでしょう。

常石 活躍楽しみにしています。仕事の邪魔になるので退散します。ありがとうございました。

 西園厩舎は、知り合いが多いのでツイツイ長居してしまいます。

 クラシックに繋がる一戦でもあるのでジックリ検討してください!

 つねかつこと常石勝義でした。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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