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【シンザン記念】大志を抱く人馬たちよ、熱き心と意気地持て

  • 2020年01月11日(土) 12時00分

牝馬に夢をかけてみるのもひとつの手


 春はまだ遠いこの寒さだからこそ、この胸の内だけはときめかせておきたい。やがて梅の花が独り咲く頃となる。いや、それを言うのはまだ早いが、早咲きの枝に端然と向きあい、その色香をめでるのが待ち遠しい。

 この淡い夢はやがて実現するが、この春のタイトルをめざす人馬には、これから乗り越えなければならない試練が待っているものが多い。中でも明け3歳馬は、どれもが初めての大舞台へという夢がかかっているだけに、年明け初戦の持つ意味は特別だ。寒いこの時期の重賞に出てくるからには、結果を出しておかないことにはと、祈る思いだろう。

 シンザン記念に牝馬のフェアリーS、この出走馬のどの陣営の夢に乗るか。特にシンザン記念の顔ぶれの中から、皐月賞、ダービー、或いはNHKマイルCをと夢をともにしたいと思えるものを見つけたくなるが、ここを勝った牡馬では18年前にタニノギムレットがダービー馬になっただけで、シンザン記念馬から牡馬のクラシック馬はその後は出ていない。

 それでも2、3着馬からは後のGI馬が、この10年でも2頭オルフェーヴル、ペルシアンナイトと出ている。だがそれより牝馬の活躍の方が目立っていて、ジェンティルドンナ、アーモンドアイの2頭が、シンザン記念を勝って牝馬三冠に輝いている。さらに2、3着からマルセリーナ、ジュエラーがGI馬に名を連ねており、牝馬にとっての出世レースという印象を強めてきた。

 ならば牝馬に夢をかけてみるのもひとつの手かもしれない。

 今年の顔ぶれを見ると、まずディープインパクト産駒のサンクテュエールが目を引く。大くずれしない馬で、米国で芝とダートのGIを勝っているハーツクライ産駒のヨシダの半妹というのが魅力。気の強いタイプで馬体の伸びしろは十分にあると、8月の新潟の新馬戦を勝ったときにルメール騎手は語っていた。

 この他では、ルーツドールとオーマイダーリンがいるが、2才のマイル戦を1分33秒台で走った馬は出世するという見方からすると、東京でこのタイムで勝ったルーツドールを加えておきたい。

 名前のあがった3頭には、ルメール、川田、武豊の昨年のリーディング上位の騎手が騎乗する。騎手にとってもシンザン記念は大切なレースで、これらの騎手は選ばれる立場でもあるから、その意味からも注目したい。

 騎手で言えば、こうした常連組に一矢報いてほしいという思いも出てくる。今回が正念場と思っているプリンスリターンの原田和真騎手に、新春の夢を抱いてみたい。とても真面目な馬と言っていた。あとは、この2年続けて勝ってきた、ロードカナロア産駒のカバジェーロの並んだら抜かせない根性に注目しておく。大志を抱く人馬には、熱き心と意気地持てと声援を送っておく。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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