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改修前ラストのシンザン記念に出張(前篇)

  • 2020年01月15日(水) 18時00分

無事に大役を務めあげたミスシンザン


 去る1月10日(金)〜13日(月)の日程で、京都に出張してきた。シンザン記念の表彰式に、当町の観光大使として選出しているミスシンザン2人がJRAの招きで参列させて頂くので、それに帯同しての出張だ。この浦河町からのミスシンザン派遣事業が始まったのは1990年(平成2年)のこと。以来、今年でちょうど30周年の節目を迎えた。

 いささか古い話になるが、1990年といえば、バブル景気に湧き、競馬ブームの真っ最中である。この年は午年で、浦河町でも馬にまつわる様々な記念行事が開催された年だ。

 ミスシンザンの派遣がどういう経緯から実施されるようになったのかは定かではないが、JRAも競馬ブームに後押しされて売り上げが伸び続けていた時代であり、明るいムードに包まれていた。初めて京都競馬場に赴き、ミスシンザンの2人が表彰式に参列してプレゼンターを務めるのを間近で見たファンから大きな歓声とともに熱烈な歓迎を受けたことをはっきり記憶している。勝ち馬はニチドウサンダー。父ニチドウタロー、母ケンヒカリルビー、母の父チャイナロック、山田敏夫氏の所有馬で、栗東・白井寿昭厩舎の管理馬、増井裕騎手が手綱をとった。生産は三石・大平福蔵氏。人馬ともに、30年間という時の流れを強く感じる。

 なぜ、こんな古い時代のことを振り返るのかというと、現在の京都競馬場で行なわれるシンザン記念は今回が最後となるからだ。周知の通り、京都競馬場は今年11月より全面改修工事に入り、リニューアルオープンが2023年春の予定と聞いている。次週改めて触れるつもりだが、京都競馬場にシンザン記念が戻ってくるのは2024年のこと。ずいぶん先の話になってしまうわけで、今回はそんなことをあれこれ考えながらの出張になった。

 さて、今年のシンザン記念は、2番人気サンクテュエールが制した。リーディングジョッキー・ルメールが騎乗。直線、プリンスリターン(原田和真騎手)との叩き合いをクビ差でものにし、ジェンティルドンナ以来、このレースの2勝目となった。サンクテュエールは牝3歳。父ディープインパクト、母ヒルダズパッション、母の父Canadian Frontier。美浦・藤沢和雄厩舎、馬主はキャロットファーム、生産は安平町のノーザンファーム。昨年8月11日に新潟でデビュー勝ちを収め、10月26日東京のアルテミスS(GIII)ではリアアメリア(こちらも父ディープインパクトのノーザンファーム生産馬)の2着に終わったが、今回3戦目で待望の重賞を制し、クラシック戦線に名乗りを上げることになった。

生産地便り

最後の直線で、壮絶な叩き合いを演じたサンクテュエール(左)とプリンスリターン(右)


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ファンにサインをするルメール騎手


 直線、サンクテュエールとの一騎打ちの形になったプリンスリターンは、5番人気ながら原田和真騎手が上手に乗り、惜しくも2着に敗れたものの、大健闘と評価できる。ゴール前、ほんのわずか差されてしまったが、3着コルテジア以下には4馬身差をつけており、十分に実力は発揮できたはずだ。引き上げてくる原田騎手はいかにも悔しそうな表情だったのが印象に残る。しかし、このプリンスリターンとのコンビでいずれ近いうちに初重賞制覇が実現しそうだ。

 さて、話をミスシンザンに戻す。昨年夏に浦河町で開催されたシンザンフェスティバルにて選出された今回のミスシンザンは、淡路瑞綺さん(20歳)と玉沢有美さん(22歳)。京都競馬場は初めてという2人は、前日より競馬場入りして、社杯を提供している日刊スポーツ社の取材を受けたり、翌日の表彰式の打ち合わせなど多忙なスケジュールをこなした。

 シンザン記念のレースが終わり、各馬が引き上げてきてからが2人の出番である。ウイナーズサークルでの表彰式に緊張の面持ちで登場した2人は、入念にリハーサルを繰り返した効果もあって、滞りなくプレゼンター役を務め上げ、無事に大役を終えることができた。

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表彰式に参列したミスシンザンの2人


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表彰式にて記念品贈呈を行ったミスシンザンの玉沢さん


 テレビカメラが回り、多くのカメラマンがレンズを向ける中での表彰式は、ハラハラドキドキだったことと思うが、2人は物おじせずに堂々としていた。

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サンクテュエールの関係者と記念写真


 またこの日、当初は曇り時々雨という予報で、天候悪化が懸念されたが、幸いにも、午後になってから徐々に空が明るくなり、シンザン記念が始まる頃には雲の間から薄日が差してくるほどに回復してくれた。風もなく、北海道とは比較にならないような暖かさで、ひじょうにツイていた。ただ、その分、同行したフェスティバル実行委員会の面々の馬券は総じて大幅マイナスに終わったのだが。

 次週、もう一度シンザン記念出張に触れたい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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