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【京成杯】あのストライドはただ者ではない

  • 2020年01月18日(土) 18時00分

展望をたしかなものにしたい出走


 2000mになった最初の1999年、勝ち馬オースミブライトが皐月賞を2着し、2004年にはデビューの遅かった3着馬キングカメハメハが、ここを踏み台にNHKマイルC→日本ダービー連勝を決めた。

 だが、寒い1月という難しい季節が関係する。そのあとは2007年の勝ち馬サンツェッペリンが皐月賞を2着し、2010年の勝ち馬エイシンフラッシュが日本ダービーを制したのが目立つだけで(皐月賞も3着)、のちの重賞での活躍馬は別に、こと春のクラシックとの結びつきは乏しい。

 1600m当時は別に、この2000mの京成杯に出走の牝馬は1999年以降【0-0-1-14】。マイル戦当時も合わせると33年間も勝っていない。そのうえ、現3歳世代の牝馬は、阪神JFのリアアメリア(6着)、シンザン記念のルーツドール、(7着)、フェアリーSのアヌラーダプラ(6着)。1番人気になった注目馬が連続して凡走している。

 そんな背景があるところに、牝馬スカイグルーヴ(父エピファネイア)が果敢に出走してきた。桜花賞を目ざすわけではない。父エピファネイアの母シーザリオも、牝系3代母エアグルーヴも、その母ダイナカールもオークス馬なので、最大目標のオークスに向け、状態のいい現在、早めに展望をたしかなものにしたい出走だろう。

 クラシックと結び着かないくらいだから、牡馬のレベルはそう高くない。だが、キャリアは1戦だけ。経験不足が大きな敗因のひとつとなった前出3頭と同様の死角を抱える。母アドマイヤセプターは新馬勝ちのあと、牡馬相手の2〜3戦目を1番人気で負けている。

 バネを利かせた大跳びのフットワークに、現在の馬場が合うとはいえない(まして渋り気味)。さらに今回は今後のために先手を主張せず、一転、差す作戦をほのめかしている。ここが必勝態勢というわけではない。

 期待のクラシック候補(オークス)ではあるが、ムキになって買うレースではないにしても、人気とのバランスを考えると買うには勇気がいる。期待しつつも嫌う手が成立する。どうしても高望みになりがちな一族として知られた2002年の牝馬ブリガドーン(父サンデーサイレンス)が、惜しい3着にとどまったレースでもある。

 ただし、東京2000mの新馬を5馬身差の内容はすごい。残り2ハロン地点で軽く合図を送って11秒2のあと、最後の1ハロンは手綱を緩め楽走のまま11秒1。それで2分01秒4だった。あのストライドはただ者ではない。行って粘るスピード系ではないから、差す形もOKだろう。外枠も不利ではない。

 新馬戦でオークスを予感させたスカイグルーヴは、ここを勝つとき早くもオークスの最有力候補となるが、結果を出せるだろうか。

 崩れる危険が少ないのは、キャリア3戦、マーフィーを配してきた藤沢厩舎の牡馬ゼノヴァース(父ディープインパクト)と思えるが、シンザン記念がいつか牝馬クラシック桜花賞路線の重要レースに変わり、共同通信杯が皐月賞前の重要レースになったと同じように、2000mの京成杯の占める位置が変わっていく可能性はある。当日の気配に納得できたら、危険でもスカイグルーヴに期待したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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