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【AJCC】AJC杯・別定GIIに出走したGI馬

  • 2020年01月21日(火) 12時00分

回収率は望めず、馬券はひと工夫が必要


 今年のAJC杯には2018年の有馬記念馬ブラストワンピースが登録している。GI馬がAJC杯出走というとミホシンザンを思い出してしまう世代の筆者だが、果たしてGI馬のAJC杯出走、あるいは別定GII出走というのはどのような結果を残しているのだろうか。

 起点を1989年のGI競走とし、まずは牡馬セン馬のGI馬(2歳GIを除く)がAJC杯に出走したケースを見てみよう。

 該当例はのべ16例で、結果は[1-1-0-14]。昨年のフィエールマンが2着、1999年のスペシャルウィークが1着しているが、16頭中14頭は馬券に絡んでいない。1番人気が5頭、3番人気が2頭いてこの成績は物足りない。

 ただ、なにぶん16頭のみの話なので、もっと参照できるデータを増やしたい。そこでAJC杯だけでなく、「芝の古馬別定GII全体」に対象を広げてみる(定量GIIは含まない)。

 総合成績は[143-71-58-293]で勝率25.3%・複勝率48.1%。回収率は単67%・複82%。当然ではあるが、年齢別では条件を満たして4歳時に出走したケースが最も良く、5歳、6歳、7歳……と下がっていく。ブラストワンピースの5歳1月は十分買える範囲だ。

 対象となった別定GIIの距離帯別では、

回収率向上大作戦


 となっていて、距離が長いGIIにおいてほど成績が良い。では、「5歳で2200〜2400m」ではどうだろうか。

 答えは[8-5-4-18]で勝率22.9%・複勝率48.6%。悪くはないが回収率は単63%・複89%で伸び切れていない。やはりGI馬のネームバリューで人気になってしまうぶんか。

 AJC杯そのものにおけるGI馬の成績不振がある一方、別定GII全体でも回収率までは望めないとなると、少なくとも本命にはしないとか、配当妙味のありそうな馬と軸2頭にするとか、そういった工夫は必要になりそうだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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