スマートフォン版へ

「ケムユヨ」ってご存知ですか?

  • 2020年01月25日(土) 12時00分

馬名にまつわるジンクス


 いきなりですが、「ケムユヨ」ってご存知ですか?

 正解は、その4文字で始まる名前の馬は日本ダービーを勝ったことがない、です。これは数年前に朝日新聞の有吉正徳記者から教わりました。

 で、よく調べてみたら、勝ったことがないどころか、3着以内にもほとんど来ていないことがわかりました。

 まず「ケ」で始まる馬。1955年の第22回ダービーで1番人気のケゴンが3着に敗れました。これが最高成績。他では、1961年(第28回)のケンカップが4着、というのがありました。

 次に「ム」。1976年(第43回)にムーンライトミストが5着に来ています。これが唯一の“掲示板”です。

 「ユ」が5着以内に来たのも1回だけ。なんと戦前、1934年(第3回)の、初めて今の東京競馬場で行われたダービーで、ユキイエという馬が5着に入りました。これっきり、途絶えています。

 そして「ヨ」。これに至っては、5着以内に来た馬は1頭もいません。私と同名(?)のヨシヒコという馬がいますが、なかなか勝てないのは名前のせいなんですかねぇ?まぁ、ダービーに出た馬じゃないですけど…。

 それはさておき、これまで86回も行われてきたダービーで、「ケムユヨ」で始まる名前の馬は勝っていないだけでなく、馬券に絡んだのもたった1度しかないわけです。今後、馬主さんが馬名を付けようとしたら気にしたほうがいいデータかもしれません(すでに考えている方がいらっしゃるとは思いますが)。

 なんでそんなことを書いたかというと、26日に行われる若駒Sにケヴィンという馬が出てくるからです。

 有吉さんから「ケムユヨ」の話を教わって以来、ダービー馬候補にその4文字から始まる名前の馬が現れたら注目しようと思っていました。ケヴィンがダービー出走までこぎ着けられたら、はたして何着に来るでしょうか?

 でも、それはまだ気の早い話。若駒Sでケヴィンがどういう結果を残すかは別として、このレースをどの馬が制するかは注目です。

 2000年から去年までのダービー馬20頭の中で、3歳になってからの初戦が重賞以外のレースだった馬は8頭います(3歳デビューのアグネスフライト=00年を含む)。そのうちの7頭は、そこで勝ち星を挙げていました。負けたのは、2歳時未勝利で3歳初戦も未勝利戦だった08年のディープスカイだけ(9着)です。

 つまり、3歳初戦の特別戦に勝つか負けるかは、ダービーを狙う上では大きな分かれ目になる、ということなのです。

 一方、ここ20年に限ると、3歳初戦が重賞で、それに負けた馬の中からも8頭のダービー馬が誕生。逆に、3歳初戦の重賞に勝ってダービー馬となったのはわずか4頭で、2010年のエイシンフラッシュを最後に現れていません。これはちょっと意外なデータだと思います。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング