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【根岸S】圧倒的に差し優勢も今年はどうなる!?

  • 2020年01月26日(日) 18時00分

■根岸S(G3・東京ダ1400m)フルゲート16頭


★3行でわかる! 根岸S 攻略の糸口

1.メチャクチャ差せる。前走での上がり3F上位馬は特注!
2.距離短縮組が強く距離延長組は不振。斤量増はプラス
3.中穴が絶好調。高齢でも問題ないが5歳以下がベター

データ特注推奨馬
 ★現時点ではなし

 根岸Sといえば、昔から「やたらめったに差せる」のが特徴。有名なのは、ブロードアピールが最後方からとんでもない追い込みを決めた、2000年の根岸Sだろう。いまだにYouTubeで繰り返し視聴されている、ちょっとした伝説級の一戦である。その傾向はいまだに変わらず、中団からの差しや後方からの追い込みがバンバン決まっている。これほど差せるダートの短距離戦など、他にはあるまい。

 こういった特性のあるレースだけに、前走での上がり3F順位がモノを言う。前走で速い上がりを繰り出していた馬は、それだけで買う価値アリだ。あとは、前走チャンピオンズC組など、ダ1600m以上からの距離短縮組が強いというのも、このレースの特徴。それとは対照的に、ダ1200mからの距離延長組は2〜3着にくるのが精一杯で、なかなか勝てない傾向にある。

 中穴人気が強く「馬券を獲りやすい程度のチョイ荒れ」が多いのも、根岸Sの特徴。人気サイドでの決着でも、ガッチガチに堅いというケースは少ない。その他にも、前走から斤量増となる馬の勝率が高いことや、高齢馬の活躍が目立つ一戦ながら高信頼度であるのは5歳以下馬であることなど、押さえておくべきポイントは多い。

 データ特注推奨馬は、残念ながら「なし」とした。出走予定馬は現時点でかなり把握できているのだが、前述のような買い材料をいくつも満たすような存在は見当たらない。例年以上に混戦模様なのではないか──というのが、現時点での見立てである。

【コース総論】東京ダ1400m

・コースの要所!

★人気から穴までまんべんなく買えるコース。大穴の激走率もけっこう高い。
★内枠である馬番1〜4番がやや不振だが外のほうが極端にいいわけではない。
★先行勢が優勢もダートにしては速い上がりの要求度が高い点に注意が必要。





 他場とは違って、東京のダ1400mはオールダート。バックストレッチの2コーナー側がスタート地点で、最初のコーナー進入まで約440mと十分に距離がある。つまり、外枠からでもポジションを取りにいきやすいコース形態だ。最後の直線が長く、直線の入り口には坂もあるので、能力があれば中団からの差しも届く。かなりクセのないコースで、鞍上も馬の能力をキッチリ発揮させやすいと思われる。

 そういった背景からか、人気別成績にはコレといった偏りが見られない。人気サイドから超がつく人気薄まで、入ろうと思えばどこからでも入れる内容といえる。信頼度が高いのは当然ながら1〜3番人気だが、7〜9番人気の勝率の高さや、10〜12番人気が2〜3着に激走する確率の高さはなかなかのモノ。レースによっては、かなりチャレンジングな馬券も買えそうである。

 次に枠番データ。内枠である馬番1〜4番の信頼度がやや低い程度で、それ以外はほとんど横並びだ。外枠からでもポジションを取りにいきやすいコース形態であるため、内枠の馬が押し込められてしまったり、ゴチャついたりするケースがあるのだろう。とはいえ、それほど大きな差が出ているわけではないので、「おおむねフラット」くらいの捉え方でとくに問題はない。

 最後に脚質面。データ母数が多かったので、今回は集計対象を「2勝クラス以上」としている。それでもハッキリと「前」有利で、逃げた馬がそのまま残るケースも多い。このあたりは、ダートの短距離戦らしい結果といえるだろう。ただし、上がり最速の馬が好成績を残しているように、瞬発力の要求度はかなり高め。クラスが上がれば上がるほどこの傾向が強くなるので、注意が必要である。

【レース総論】根岸S(G3) 過去10年

・レースの要所!

★中穴人気の好走率が高め。手が届く程度に程よく荒れるレースという印象。
★「やや内」である馬番5〜8番が絶好調。脚質は完全に差し・追い込み優勢。
★高齢でも好走できるが高信頼度なのは5歳以下馬。距離短縮組もかなり強い。
★前走から斤量増となる馬が絶好の狙い目。斤量減の馬はなかなか勝てない。










 レースの平均配当は、単勝1027円、馬連3618円、3連複1万6645円と、標準レベル。極端に荒れることはなく「おおむね順当〜チョイ荒れ」程度で決着するケースが多い。昨年は5番人気以内馬によるワン・ツー・スリー決着で、一昨年は6番人気のノンコノユメが1着も2〜3着は上位人気。堅く決まるケースでもガチガチではなく、荒れたとしても馬券を獲りやすい程度という、競馬ファンに優しいレースといえるかもしれない。

 目立っているのは、中穴である4〜6番人気の活躍。トータル[4-1-5-20]で勝率13.3%、複勝率33.3%、単勝適正回収値139.6、複勝回収値102と、文句のつけようがない好内容である。上位人気の信頼度もソコソコ高いが、狙ってオイシイのは間違いなくここ。あとは、10〜12番人気の激走率も低くはなく、侮れない面がある。

 枠番は「やや内枠」である馬番5〜8番が飛び抜けて好成績。平均人気がもっとも高いというのも背景にあるだろうが、人気以上の結果を出しているのは評価に値する。単純に内外で比較したデータでも「内>外」となっているが、平均人気差の大きさを考えると、外枠の信頼度が低くなって当然。データ母数が圧倒的に多いコースデータ通り、おおむねフラットという前提で考えたほうがいいと思われる。

 注目すべきは脚質面で、こちらはコースデータとは「真逆」といっても過言ではない結果となった。ダートの短距離戦とは思えないほどに差し・追い込み勢が強く、最速上がり馬はスーパー高信頼度。ダートの短距離戦で先行勢がここまで弱いというのは、間違いなくレアケースだ。根岸Sというレースの特性とみて、こちらはかなり重視して考えるべき。今年も差し・追い込み勢が上位に食い込んでくるとみたい。

 前走での上がり3F順位別でみても、末脚がキレる馬のほうが強いのは明白。前走での上がり3F順位が「3位以内」だった馬が、トータル[8-3-4-37]で勝率15.4%と勝ちきっている。前走が最速上がりだった馬はさらに素晴らしい結果を残しており、ノータイムで「買い」といえるほど。組み合わせ次第ではあるが、前走での上がりが優秀だった馬を重視するのは、このレースにおけるセオリーだ。

 年齢別のデータでは、5歳以下馬が高信頼度であるのが見てとれる。8歳馬でも5回の馬券絡みがあるように、高齢が割引材料にはならないレースではあるが、それでも中心視できるのは6歳まで。7歳以上馬に関しては、ヒモ程度の扱いが適切である。そして前走距離別成績では、距離延長組の不振と距離短縮組の好調さに注目。今年はダ1200mからの距離延長組が人気を集めるかもしれないが、過信は絶対に禁物だ。

 面白いのが、前走からの斤量増減別データである。別定戦でもあって斤量増減を気にしない人も多そうだが、このレースで強いのは間違いなく「斤量増」となる組。昨年の勝ち馬コパノキッキングと一昨年の覇者ノンコノユメも、いずれも前走から斤量増での出走だった。逆にサッパリ勝てていないのが斤量減となる組で、その勝率はたったの1.9%。2〜3着ならまだしも、ここを1着で狙うのはナンセンスだ。

 最後に騎手関連データ。ここからは、鞍上の乗り替わりがマイナスに働かないレースであることや、ホームである関東所属騎手よりもアウェイである関西所属騎手や外国人騎手が強いレースであるのがわかる。とはいえ、他に有意なデータがいくらでもあるレースなので、騎手に関しては「多少」考慮する程度でよさそう。それこそ「上手いジョッキーが乗るならばプラス評価」というくらいでいいはずである。

【血統総論】


 産駒が飛び抜けて好成績という種牡馬は、東京ダ1400mにおいてはクロフネ以外に見当たらない。これだけの出走数がありながら、複勝率は34.1%と非常に高く、単勝適正回収値106.5、複勝回収値132と爆発力も申し分なし。現段階では把握できていないが、もし出走馬にクロフネ産駒がいるならば、人気薄でも必ず押さえておきたいところだ。それ以外では、ヘニーヒューズ産駒、キンシャサノキセキ産駒、ロードカナロア産駒をプラス評価の対象としている。

★出走予定馬 総論×各論

 大きな話題となったのが、芝G1の勝ち馬であるモズアスコットのダート初参戦。その他にも、藤田菜七子騎手に中央での初重賞制覇をもたらしたコパノキッキングや、今回と同条件である霜月Sを快勝してきたミッキーワイルドなど、なかなか面白いメンバー構成となりそう。特別登録前に出走の意向が把握できている馬だけでも16頭を超えていることから、おそらくフルゲートとなることだろう。

 まず注意すべきは、逃げ・先行勢の少なさだ。逃げ・先行勢といえるのはドリームキラリとワイドファラオくらいのもので、有力馬の多くが差し・追い込み勢。展開的には、かなり前が楽をできそうなのである。差しや追い込みが決まりまくるレースではあるが、前が極端に楽な流れにでもなると、さすがにそうはいかない。ペース&展開をしっかり読むのが、かなり重要な一戦となりそうな印象を受ける。

 そういう理由もあってのトップ評価が、明け4歳馬のワイドファラオ。前走のチャンピオンズCでは14着に惨敗したが、そこからの大きな巻き返しが期待できる一戦である。距離短縮で斤量増(たぶん)となる4歳馬で、ヘニーヒューズ産駒であるのもプラス材料。しかも展開まで楽になりそうとなれば、見直す余地は十分すぎるほどだ。ただし、最後で「何か」に差されそうでもあるので、それを見越した馬券をオススメしたい。

 二番手評価にスマートダンディー。前走、阪神のギャラクシーSを速い上がりで中団から差しきった内容は、高く評価できるものだ。長期休養明けだった霜月Sでは14着に大敗したが、そこからひと叩きされての上昇が顕著だった。重賞には今回が初挑戦となるが、いきなりからやれて不思議ではないオープン実績の持ち主。さらに調子を上げてくるようであれば、なおさら面白い。

 三番手評価にアードラー。前走のすばるSでは、後方から最速の上がりを繰り出すも4着に終わっている。いわゆる「展開待ち」のタイプなので致し方ない部分はあるが、それだけにこのレースへの参戦は大きな魅力。差しが届く展開になりさえすれば、最後の直線では自慢の末脚でグングン伸びてくることだろう。相手関係は強くなるが、それでも勝ち負けになっておかしくない1頭である。

 四番手評価にコパノキッキング。前走ダ1200mからの距離延長は大きなマイナスで、臨戦過程としては買いづらい面がある。しかし、昨年まったく同じローテで「カペラSで1着→根岸Sでも1着」という結果を残しているのだから、この馬に関しては評価を割り引く必要ナシとみた。さらに鞍上も、昨年と同じO.マーフィー騎手に乗り替わり予定。展開的にも有利なはずで、やはり軽視はできない。

 以下はミッキーワイルド、ワンダーリーデル、テーオージーニアス、ダノンフェイス、スマートアヴァロンという評価の序列。大きく荒れる傾向のレースではないので、このあたりをうまく組み合わせつつ、チョイ荒れ程度の配当を狙っていきたいところ。点数もある程度は絞って、いわゆる「割のいい」馬券を買いたい一戦である。


■総論×各論・先々週の馬券回顧



ギリギリ浮いた(*^ω^)♪

トップ評価だったウインカーネリアンが回避! ならば、二番手評価だった12スカイグルーヴから流そうか──とも思いましたが、配当的に面白味がない。つーわけで、文中で推しまくった「7〜9番人気」から手広く流してみました。ギリギリでプラス計上できたものの、レース後に「スカイグルーヴから7〜9番人気に流す馬券だったら、けっこう儲かってたんじゃないか説」が浮上。ウム、相変わらずデータ馬券は難しい。

※コース&血統データは2017年以降、レースデータは2010年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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