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【AJCC】飛躍を期す4歳馬の変わり身に期待

  • 2020年01月25日(土) 19時01分

現在のデキの良さとコース適性を重視


 かつて、大レースの常連が始動戦にした当時は「格と底力」の求められる重厚な重賞と形容されたが、現在ではその色彩はかなり薄れた。今年のGI馬はブラストワンピースのみ。さらなる飛躍を期す古馬のGIIだが、ここをステップに春のGI快走は、15年ゴールドシップ(2走後に春の天皇賞制覇)、19年フィエールマン(次走で春の天皇賞制覇)が目立つ程度。あまりランキングにこだわらず、現在のデキの良さと、中山2200mの適性を重視したい。近年はここを狙った馬の好走の方が多い。

 18年の有馬記念馬ブラストワンピースには敬意を表する必要はあるが、飛躍を期す4歳ラストドラフトの変わり身に注目。昨年のこの時期、2戦目に京成杯2000mを制したが、当時はまだ非力だった。弥生賞7着、皐月賞7着のあと脚部難で半年休み、今回が叩き3戦目になる。

 前回の中日新聞杯は頭差2着に惜敗したものの、差す形で抜け出して直線先頭。レース運びに幅を増していた。先々週、先週と連続して雪辱を期すO.マーフィー騎乗で追われ、馬体重は変わらないだろうが、3歳時の非力感は薄れ確実に成長している。

 父ノヴェリスト【9-1-0-1】産駒の活躍馬はもう一歩で、重賞勝ち馬はラストドラフトと、豪州に渡ったWolfe(母ピースオブワールド)だけだが、少しずつその評価は上昇している。その父Monsun(モンズーン)も、母Night Lagoon(ナイトラグーン)もドイツ色の濃い血統で、ノヴェリストが本格化したのは4戦全勝だった4歳になってからのこと。

 キングジョージVI世&クイーンエリザベスS(英12F)を大レコードの2分24秒60で5馬身差独走。ハービンジャーの記録を2秒18も更新した。それでいながら渋馬場も通算5戦全勝のスタミナがあり、直後のGIバーデン大賞2400m(独)は2分33秒90で勝っている。ラストドラフトは重馬場の弥生賞を負けているが、あれは馬場の巧拙というより当時はまだ非力だったためだろう。

 母マルセリーナ(11年の桜花賞1着、オークス4着)も単なるマイラーではなく、5歳時にGIIIマーメイドS2000mを勝っている。祖母マルバイユの父Marju(マルジュ。英ダービー2着)は、日本ではサトノクラウン(16年香港ヴァーズ、17年宝塚記念など)の父となっている。

 馬場の悪化が心配になるほどの降雨はないとみて、この中山芝2200m【2-2-0-0】のミッキースワロー(父トーセンホマレボシ)と、入念な乗り込みで巻き返しを図る4歳ニシノデイジー(父ハービンジャー)が相手本線。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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