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早くも一流ジョッキーの仲間入り、福原杏騎手

  • 2020年01月28日(火) 18時00分

佐々木竹見カップは総合4位と健闘


 このコラムが公開される1月28日、川崎競馬場では第18回佐々木竹見カップ・ジョッキーズグランプリが行われた。中央も含めた全国のトップジョッキーによって争われるが、その出場者に、昨年4月にデビューしたばかり、そして25日に19歳になったばかりの浦和・福原杏(ふくはら・まい)騎手の名があるのはちょっとした驚きだ。

 昨年、福原騎手は地元浦和競馬場で41勝(他場も含めた地方では62勝)を挙げ、浦和リーディングでは森泰斗騎手70勝、左海誠二騎手55勝に次ぐ3位。浦和所属騎手に限ると、ともに27勝の繁田健一騎手、保園翔也騎手に差をつけての1位だった。しかも4月デビューゆえ他の騎手より騎乗期間が3カ月少ない状況でいきなりトップに立っての佐々木竹見カップ出場だ。

新人ながら佐々木竹見カップに出場した福原杏騎手(浦和)


 福原騎手については、7月30日付けの本コラム、『あっぱれ!新人騎手が1日4勝』で取り上げたとおり、デビューしてわずか3カ月しかたっていないその時期ですでに15勝を挙げていたが、その後も順調に勝ち星を伸ばしての活躍だ。

 南関東でデビュー年の9カ月間に挙げた62勝というのは相当に優秀な数字だ。平成以降、南関東でデビュー年の最多勝記録はこれまで2013年にデビューした笹川翼騎手の43勝だったから、それを大幅に更新した。おそらく昭和の時代にもそれ以上の記録はなかったと思われる。

 ところで、佐々木竹見カップの枠順を見て、“そうなのか”と思ったのが、福原騎手の斤量には☆が付いていて、減量での騎乗になるということ。こうした騎手交流戦で減量が適用されることはめずらしい。レースとしては普通の条件戦(特別であはるが)で、減量騎手が出走することは想定になかったのではないか。

 それほど活躍が目立つ福原騎手だが、これまでのところ騎手交流戦では馬に恵まれていない。昨年行われたヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンドでは、門別、浦和で計4戦に騎乗して、4着、10着、10着、9着という成績で地方東日本最下位。21日に高知で行われた全日本新人王争覇戦では、10着、6着で出場11名中10位だった。

 そして今回の佐々木竹見カップは、福原騎手以外でもっとも若いのは石川倭騎手(北海道)で24歳。ほかは30歳以上で、最年長は山口勲騎手(佐賀)の49歳。そうしたメンバーの中で戦った19歳は、第1戦こそ11着だったが、第2戦は8番人気ながら2着に好走。総合では4位と健闘したが、惜しくも表彰台には届かなかった。

 福原騎手には、このまま勝ち星を重ねていけば、さらに楽しみなことがある。ワールドオールスタージョッキーズの地方代表騎手選定競走でもある、『地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ』の本戦に浦和代表として出場できるのではないか、ということ。

 昨年は本戦のファーストステージが6月2日・盛岡、ファイナルステージが6月20日・園田で行われたが、その前回の規定によると、ファーストステージ出場騎手は、前年4月1日から3月31日まで、所属場での勝利数順位が1位の騎手(12名)と、チャレンジステージの上位2名となっていた。今年も同じ規定であれば、福原騎手の出場の可能性はかなり高い。

 2年目となる今年、福原騎手のさらなる活躍に期待だ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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