【根岸S】世代交代とレースラップ、2つの激流を制するのは
6歳以下の若い馬が有利も、ベテラン勢の末脚には警戒
最大のポイントは、近年の東京芝1400mはスローが珍しくなく、先行タイプの好走が多いが、ダート1400mのこのレースは逆。差し=追い込み馬向きの厳しい流れになることが多く、逃げ切りは2005年のメイショウボーラーが最後。逃げて馬券に関係した馬も、2008年に2着したタイセイアトムを最後に出現していない。
今年は、人気の5歳コパノキッキングが自在性を増し、好位から1分09秒3で抜け出したカペラSのようなレースができる。昨年、マーフィー騎乗で中位差しを決めた当時(56キロで1分23秒5)より、一段と強くなっている。その昨年は辛勝に近かった。58キロの負担重量を考えれば、今年のマーフィー騎手は強気に早めのスパートに出る可能性が高い。前のグループは苦しい。
もうひとつは、ダート界の世代交代が早まり、明らかに有利は最近10年間で9勝もしている「4-6歳馬」。ただし、差しタイプ向きの展開を味方に「7-8歳馬」が8頭も3着以内に食い込んでいる点にも注目。その「7-8歳馬」は順に「10、10、4、5、15、6、10、3」番人気だった。好配当をもたらすのはタフなベテランの台頭。
7歳ワンダーリーデル(父スタチューオブリバティは、Storm Cat直仔)に注目。ダート1400mで5勝しているが、それは5歳時までの成績で、最高タイム1分23秒1のレベルも高くない。しかし、6歳の昨年は東京ダート1600mで2勝している。
注目はその中身で、11月の武蔵野Sは自己最高の1分34秒6だっただけでなく、中団より後方でなだめて追走。直線は外に出して残り200mで一気に先頭に立つと、自身の1400m通過は1分22秒3(良馬場)だった。6月にアハルテケSを1分34秒8で差し切った際も、重馬場とはいえ1400m通過は先頭で1分22秒1だった。
パワーアップして1600mまでこなせるようになったことではなく、同時に自身のベストの距離と思える1400mの中身がアップしている点に注目したい。前回の凡走は1800m。マイラーというよりスプリンターにも近い短距離型だけに仕方がない。
ワンダーリーデルには、短距離タイプの父スタチューオブリバティ(5年間の供用でオーストラリアに輸出)のスピード能力に、母方に連続して配されてきた「マヤノトップガン、コマンダーインチーフ、ブレイヴェストローマン、シルバーシャーク、ハーケン…」の高いダート適性が加わっている。
コパノキッキングが強さを発揮し、早めのスパートで先行タイプを苦しくしてくれるのは、差すワンダーリーデルにとって望むところでもある。ベテラン勢の伏兵には追い込む8歳スマートアヴァロン(父サウスヴィグラス)を加えたい。