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【特集サウジ競馬(1)】サウジC新設の背景とは? 世界の合田が教える「サウジアラビア競馬」の世界 (無料公開)

  • 2020年02月02日(日) 18時02分
海外競馬通信

▲6戦無敗のクリソベリルも参戦、サウジCの舞台を大特集 (C)netkeiba.com


2月29日、全世界が注目する国際競走が第1回目を迎える。総賞金は圧巻の22億円! 日本からはクリソベリルやゴールドドリームが参戦を予定している、その名も「サウジC」。前日の国際騎手チャレンジには、武豊騎手や藤田菜七子騎手の参加も予定している。

netkeibaでは知られざる「サウジアラビア競馬」について、1か月に渡って特集。第1回は世界の合田が、レースや競走馬のレベル、コース形態など、サウジ競馬の基本を分かりやすく教えます!

(文=合田直弘)


現役馬は約9000頭、競走馬の生産も行われている


 アラブの国ゆえ馬は常に文化の中心にあり、国を統べる王族たちも代々馬との関わりを持ち続けている。建国の祖であるアブドゥルアジーズ国王は、騎馬による戦闘を経験した世界で最後の統治者と言われており、王族の中には騎手として競馬の実戦に加わった経験がある者もいるという。

 競馬統括機関としてのサウジアラビア・ジョッキークラブが創設されたのは1965年で、リヤドの北東約40キロほどの地点に位置するジャナドリヤ地区にあるキングアブドゥルアジーズ競馬場と、メッカの南東97キロにある高原の避暑地に位置するターイフ競馬場の2か所で、競馬開催が行われている。

 サウジアラビア・ジョッキークラブの現会長は、バンダル・ビン・カーリッド・アル・ファイサル王子(プリンス・バンダル)だ。年間の施行競走数は18/19年シーズンで635競走で、現役馬の総数は約9000頭と言われている。

 キングアブドゥルアジーズ競馬場における開催は、例年10月から3月までで、金曜日・土曜日の週2日開催が原則。19/20年シーズンは40日の開催が組まれており、1日10競走を施行するのが標準的なパターンである。

 サウジアラビアは競走馬の生産も行っており、およそ5000頭ほどの繁殖牝馬と、390頭ほどの種牡馬が繋養されている。年間生産頭数は2000頭を切る程度だ。

世界最高賞金競走、サウジC創設の背景


 イスラム教国の中でも戒律が厳しく、外国人が入国しようにもビザの取得が容易ではないことで知られていたのがサウジアラビアだが、2019年9月に方針を転換。世界49か国に対し、観光ビザの発給を解禁した。

 2030年までに、GDPに占める観光分野の割合を、現在の3%から10%に引き上げること、同分野の雇用を現在の60万人から160万人に拡大することを国としての目標としている。

 原油確認埋蔵量はベネズエラに次いで世界第2位とされるサウジアラビアだが、石油にのみ依存する産業構造を変えたいとの意図があり、観光を産業の柱に育てることを目論んでいる。そんな中、観光資源の1つとなるのが競馬で、その目玉となる一大イベントとしてサウジCが創設されることになった。

 近年は世界の各国で、高額賞金をともなった新たな国際競走が創設されているが、その極めつけと言っても過言ではないのが、2020年2月29日にキングアブドゥルアジーズで行われるサウジC(d1800m)だ。総賞金は2000万米ドル、日本円にして約22憶円で、断トツの世界最高賞金競走として新設されたのである。

 更に、総賞金250万ドルのレッドシーターフH(芝3000m)、190万ドルのオベイヤアラビアンクラシック(d2000m)、150万ドルのリヤドダートスプリント(d1200m)、100万ドルのネオムターフC(芝2100m)、同じく100万ドルのザ1351ターフスプリント(芝1351m)など、アラブ種のレースを含めて7競走のアンダーカードが用意されており、8競走の総賞金は2920万ドル(約32億1200万円)に達する。

 サウジCを含めて、当日のレースはすべて、主催者が遠征費用を負担する完全招待制で、1月7日に締め切られた第1次登録の段階では、登録料も無料だった。

 更に、前日の2月28日(金曜日)には、国際騎手チャレンジを実施。男性騎手7名、女性騎手7名の合計14名の騎手が世界各国から招待され、4競走を通じてのポイントで優勝騎手が決定する仕組みとなっている。

 キングアブドゥルアジーズ競馬場は左回りで、外側にあるダートコースが1周およそ2000m。2コーナー部分に600mほどのシュートがあり、シュートの一番奥が2000m戦のスタート地点となる。内側は1周およそ1800mの芝コースで、最後の直線は411mある。

 かつては、外回りがオールウェザーで内回りが調教用のダートコースだったが、新たな国際競走開催へ向けて馬場の改修を行い、外回りがダート、内回りが芝となった。新たに敷設された芝の状態が懸念されていたが、下見に行った関係者によると、根付きもクッションも良い芝が整備されているとのことだ。

服装やアルコールに注意! サウジアラビアの過ごし方


 この原稿を書いている段階で日本からは、メイン競走のサウジCにクリソベリル(牡4)とゴールドドリーム(牡7)、ネオムターフC(芝2100m)にディアドラ(牝6)、リヤドダートスプリント(d1200m)にマテラスカイ(牡6)、サウジダービーにフルフラット(牡3)の参戦が確定している。

 招待馬の全容はまだ明らかになっていないが、サウジCには、北米からG1・4勝馬で昨秋のG1・BCクラシック(d10F)2着のマッキンジー(牡5)、19年の全米最優秀3歳牡馬のマキシマムセキュリティ(牡4)、同年の全米最優秀ダート古牝馬ミッドナイドビズー(牝5)、1月25日のG1ペガサスワールドC(d9F)勝ち馬ムーチョグスト(牡4)らの参戦が見込まれている。

 また、28日の国際騎手チャレンジには、武豊騎手、藤田菜七子騎手の参加が予定されている。

 筆者も現地に赴く予定だが、サウジアラビアは筆者にとって未踏の地だ。2月のリヤドは日中の気温が25度前後であるのに対し、砂漠特有の気候で夜間の最低気温は10度近くまで下がると聞いている。調教を取材する際などは、むしろ防寒の準備をしていく必要がありそうだ。

 服装と言えば、女性の方は注意が必要だ。旅行者は、アバヤと呼ばれるヘッドスカーフがついた黒いドレスを身にまとう必要はない。だが、華美な装いは慎むべきで、例えば藤田騎手への招待状には、肩や膝を露出した服装は避けるべしとの注意書きが添えられている。

 そして、アルコール類は一切ご法度。滞在中は一滴も飲めないことを覚悟しなければならない。

 記念すべき第1回サウジCで何が起きるのか、しっかりとこの目で確認したいと思っている。

(次回は2/11公開予定です)

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