今後の行方が気になる種牡馬の勢力図

　交配シーズンを前にして、今年度の種牡馬展示会がいよいよ今日からスタートした。今年トップを切って展示会を開催したのは、日高町のブリーダーズスタリオン。全繋養種牡馬20頭のうち、新種牡馬3頭を含む18頭が多くの来場者の前で展示された。

　今年のブリーダーズスタリオンの新種牡馬はシュヴァルグラン、アルアイン、サトノアレスの3頭である。

　まず最初にシュヴァルグランが登場した。展示会場には同馬のオーナーである佐々木主浩オーナーや友道康夫調教師も駆けつけ、それぞれマイクを握って愛馬にエールを送っていた。シュヴァルグランは、周知の通り、半姉にヴィルシーナ、半妹にヴィブロスのいるハーツクライ産駒で、2017年JCの優勝馬。33戦7勝2着7回3着7回、獲得賞金は11億3496万円(邦貨換算した海外賞金を含む)に上る。

　シュヴァルグランはゆったりとした歩様で周回を重ね、ひじょうに落ち着いている印象の馬だ。友道師も「厩舎ではとても大人しくて従順な馬」と言うだけあって、展示スペースをぐるりと取り囲む人垣にも動じる気配がなく、終始穏やかな表情であった。


　次に登場したのはアルアイン。父ディープインパクト。母のドバイマジェスティは北米で34戦12勝(BCフィリー＆メアスプリント＝G1)の名牝で、アルアイン自身も3歳時に皐月賞をレースレコードで制し、また昨年の大阪杯にも優勝している。通算戦績は20戦5勝2着3回3着2回。名種牡馬と北米のチャンピオン牝馬との間に生まれた名血馬だ。


　3頭目はサトノアレス。2016年の朝日杯FSの優勝馬で、父ディープインパクト、母サトノアマゾネス。雄大な馬格を武器に2歳時、3連勝で頂点に上り詰めた実績を持つ。


　ここまでが新種牡馬のお披露目で、次に本年度初産駒がデビュー予定のダノンシャーク、ラブリーデイ、リオンディーズと3頭が登場した。

　7頭目以降はコパノリッキー、グレーターロンドン、グランデッツァ、シビルウォー、スピルバーグ、ベルシャザール、ストロングリターン、ディープブリランテ、ゼンノロブロイ、ジャングルポケット、ヴィクトワールピサと続いて、トリを飾ったのはブラックタイドであった。

　今週に入り、日高はこの冬一番の寒気が襲来していて、この先もしばらくは真冬日が予想されているが、幸いにも今日はやや曇りがちながら風が弱く気温が低い割には寒さをそれほど感じなかった。これくらいのコンディションならば助かる。

　明日は、社台スタリオンの展示会が開催予定で、来週になると、まず10日(月)より、ダーレー・スタリオンのオープンハウスが18日までの予定で開始される。さらにその翌日11日(火)には新冠地区のビッグレッドファームと優駿スタリオンが続けて展示会を実施する予定で、翌12日(水)には静内地区の3場(JBBA静内種馬場、アロースタッド、レックススタッド)が時間差での展示会開催、そして13日(木)は、浦河のイーストスタッドでの展示会と、連日、種牡馬展示会の日程が組まれている。

　なお、一連の展示会を前にして、すでに人気種牡馬の中には満口になっている例もかなりある。今日、ブリーダーズスタリオンで配布された資料によれば、ざっと22頭を数える。

　アジアエクスプレス(優駿S)、エスポワールシチー(優駿S)、エピファネイア(社台S)、カリフォルニアクローム(アローS、新種牡馬)、キズナ(社台S)、コパノリッキー(ブリーダーダーズS)、シニスターミニスター(アローS)、シルバーステート(優駿S)、ダイワメジャー(社台S)、ドゥラメンテ(社台S)、ドレフォン(社台S)、ハーツクライ(社台S)、ヘニーヒューズ(優駿S)、ホッコータルマエ(イーストS)、マジェスティックウォリアー(イーストS)、モーリス(社台S)、リアルインパクト(社台S)、リアルスティール(社台S)、リオンディーズ(ブリーダーズS)、ルーラーシップ(社台S)、レイデオロ(社台S、新種牡馬)、ロードカナロア(社台S)とこれだけいる。

　必ずしも社台スタリオンの繋養種牡馬に限ったことではなく、かなり広範囲にバラエティに富んだ顔ぶれになっている。ディープインパクト、キングカメハメハという二大巨頭亡き後、種牡馬の勢力図が今後どのように変わって行くのかがひじょうに気になる。