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さらなる発展の予感がした社台スタリオン展示会

  • 2020年02月12日(水) 18時00分

新種牡馬ブリックスアンドモルタルなど全30頭を展示


 例年にない暖かさと少雪で始まった2020年だが、さすがにこのまま春を迎えるようなことにはならず、2月に入った途端にいつもの年のような厳しい寒さが訪れた。それが先週半ばから週末にかけてで、ちょうど札幌で開催された雪まつりの期間と重なる。この一週間で札幌は例年以上の積雪量になったというし、自然はやはりどこかできっちりと帳尻を合わせてくれるらしい。

 で、2月6日(木)。前日のブリーダーズスタリオンに続き、この日は社台スタリオンの展示会であった。展示開始は午前11時半。今年の社台スタリオンは、4頭の新種牡馬を含む全30頭がお披露目された、この日の朝は晴天微風でかなり冷え込んだが、まずまずのコンディションで、会場には多数の関係者が来場し、1頭ずつ引き出される種牡馬に熱い視線を送っていた。

 今年の新種牡馬はブリックスアンドモルタル、レイデオロ、ニューイヤーズデイ、スワーヴリチャード。ブリックスアンドモルタルは、ジャイアンツコーズウェイの直仔。生涯成績13戦11勝で、昨年GI5勝を含む重賞6連勝でアメリカ年度代表馬に輝いた。

 レイデオロはキングカメハメハ産駒の2017年日本ダービー馬。ニューイヤーズデイは、昨年ケンタッキーダービー1位入線(17着に降着)したマキシマムセキュリティ(9戦7勝2着1回)の父として知られている実績馬。スワーヴリチャードはハーツクライ産駒の昨年のJC優勝馬。

 種付け料はブリックスアンドモルタルとレイデオロが600万円、ニューイヤーズデイが300万円、スワーヴリチャードが200万円となっているが、展示会を前にしてすでにレイデオロ*は満口だ。

生産地便り

アメリカ年度代表馬ブリックスアンドモルタル


生産地便り

早くも満口の新種牡馬レイデオロ


生産地便り

マキシマムセキュリティの父ニューイヤーズデイ


生産地便り

昨年のJC優勝馬スワーヴリチャード


 展示順はこれら新種牡馬4頭の次に、今年初産駒が誕生するサトノダイヤモンド、リアルスティール*、マインドユアビスケッツ、サトノクラウン、レッドファルクスの5頭が登場した。そして、キタサンブラック、サトノアラジン、ドレフォン*、ロゴタイプ、イスラボニータの来年産駒デビュー組5頭が続き、さらに今年産駒デビュー予定のドゥラメンテ*、モーリス*、ミッキーアイル、昨年産駒がデビューしているキズナ*、エピファネイア*、リアルインパクト*と、次々に登場してきた。ここまでで20頭。うち*印の8頭がすでに満口という人気ぶりである。

生産地便り

今年産駒がデビュー予定のドゥラメンテ


生産地便り

ビアンフェなど初年度産駒が好成績のキズナ


 ここまでですでに「腹いっぱい」の状態だが、ここから社台スタリオンの実績馬たちが続々出てくる。リーチザクラウン、ノヴェリスト、キンシャサノキセキ、ジャスタウェイ、さらにGI競走の優勝馬を輩出するオルフェーヴル、ハービンジャー、ルーラーシップ*、ロードカナロア*と続き、ダイワメジャー*、最後にハーツクライ*がお披露目され、これで全30頭の展示が終了した。(*印は満口の種牡馬)

生産地便り

アドマイヤマーズなどの父ダイワメジャー


生産地便り

最後にお披露目されたハーツクライ


 ところで、開始当初は良く晴れていた空模様だったが、展示会が進むにつれて徐々に雲量を増して行き、ちょうど半分を消化した頃から雪が降り出した。この時期の北海道は、西高東低の冬型の気圧配置になると、太平洋側は晴れていても、日本海側や内陸では雪になることが多い。

 社台スタリオンのある安平町はどちらかというと札幌や千歳に近く、日高では晴天でも雪が降りやすい。オルフェーヴルが登場した頃からはいっそう雪がひどくなり、撮影にも難儀するほどの降り方になってしまった。

生産地便り

雪の中展示されたオルフェーヴル


生産地便り

同じく雪の中展示されたロードカナロア


 とはいえ、社台スタリオンの場合は、もはや展示会の天候によって配合申込頭数が左右されるようなレベルではなく、今年もおそらく日高から多くの繁殖牝馬が通うことになるだろう。

 すでに質量ともに、社台スタリオンは事実上日本の競馬界をリードしているが、今年もまたサンデーサイレンス以来30年ぶりとなるアメリカ年度代表馬(ブリックスアンドモルタル)が導入され、さらなる発展の予感が漂う。

 なお、今週は日高で種牡馬展示会が続いており(11日=新冠地区ビッグレッドファーム、優駿スタリオン、12日=静内地区JBBA静内種馬場、アロースタッド、レックススタッド、13日=浦河イーストスタッド)、これらについてはまた来週に触れたい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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