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共同通信杯は限りなくトライアルに近い重賞

  • 2020年02月15日(土) 12時00分

他のトライアルをしのぐ位置にある


 今週は各地で季節外れの暖かさになったようですね。新型肺炎の感染拡大はもちろん、雪不足が夏の水不足を招くことにならないか、とても心配です。

 一方、競馬の春はもうすぐそこ。このところ、クラシックを目指す3歳馬のためのレースが相次いで行われています。今週はクイーンCに共同通信杯。どちらも注目ですよね。

 とくに共同通信杯は、限りなくトライアルに近い重賞競走。格付けはGIIIですが、これまで53回行われたレースの勝ち馬からは多くのクラシックホースやGI好走馬が輩出されています。改めて調べてみると、「こんなにスゴイのか」と思ってしまいました。

 まず、3冠馬が2頭出ています。1983年のミスターシービーと94年のナリタブライアンです。それに加え、75年のカブラヤオーが皐月賞、ダービーの2冠を制しました。また、皐月賞優勝→ダービー3着以内という馬が2頭(2014年イスラボニータ、16年ディーマジェスティ)、皐月賞3着以内→ダービー優勝が3頭(1978年サクラショウリ、90年アイネスフウジン、2001年ジャングルポケット)います。

 さらに、1986年のダイナガリバーはダービー、2012年のゴールドシップは皐月賞を制覇。1968年のタケシバオーと2019年のダノンキングリーは皐月賞とダービーでともに3着以内に好走しました。

 そして、皐月賞とダービーのどちらかで3着以内に来た馬が8頭います(1967年ホウゲツオー=皐2着、69年ミノル=ダ2着、76年テンポイント=皐2着、84年ビゼンニシキ=皐2着、97年メジロブライト=ダ3着、2006年フサイチホウオー=皐3着、15年リアルスティール=皐2着、17年スワーヴリチャード=ダ2着)。

 つまり、歴代53頭の勝ち馬の中から、皐月賞かダービーで馬券に絡んだ馬が20頭も出ているわけです。

 そのほか、ここ10年で言えば、12年のディープブリランテは皐月賞3着→ダービー優勝、15年のドゥラメンテは2冠制覇と、2着馬からもクラシックホースが誕生しています。

 これほど皐月賞やダービーに結びついている共同通信杯は、弥生賞やスプリングS、若葉S、そして(テレビ東京としては少々歯がゆいところですが)青葉賞をもしのぐ位置にある、と言ってもいいんじゃないでしょうか?

 今回は、3戦3勝のマイラプソディと1戦1勝のフィリオアレグロ、地方競馬で2戦2勝のエンに“無敗優勝”の可能性があります。

 過去に無敗で共同通信杯を制した馬は8頭いました。そのうち、70年タマアラシ、85年サクラユタカオー、98年エルコンドルパサーは“春2冠”は不出走。それ以外の5頭(テンポイント、ビゼンニシキ、フサイチホウオー、リアルスティール、ダノンキングリー)は“春2冠”のどちらか、あるいは両方で馬券に絡みました。ところが、それを勝った馬は出ていないんですよね。これは意外。さぁ、今年はどうなるでしょうか?

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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